It's Your Night / James Ingram この時期になるとレコード店の店頭には必ず飾られる甘いラヴ・ソングばっかりを集めたオムニバスのCD。実際暮らしの小道具としての需要があるのだろう。手を変え品を変えいろんなものが発売される。そのことをとやかくいうつもりはないけれど、個人的には甘いものは苦手だ。食べ物も、音楽も。おなかにもたれるのだ。
それでも時々は、大甘のくどいくらいのラヴ・ソングに浸りたくなることがある。特に、こんな寒い冬の日には。暖炉でかじかんだ手を温めるように、いろんなことを想い出しながら。
80年代にはいわゆるブラック・コンテンポラリーと称する、洗練されたソウル・ミュージックが流行した時期があったけれど、そのほとんどが僕にはしっくり来るものではなかった。あまりにも見え見えの売れ筋狙いのくどさが鼻についた。
そんな中で何故か好きだったのがジェイムス・イングラム。
甘く、くさく、大袈裟なバラッドの数々。けど、何故かくどくはない。おなかにもたれないのだ。どんなにベタベタなラヴ・ソングでも、しっかりと情感は込めつつも決して下品にならずに、ぱりっと清潔に歌い上げる。どこか歌の中にちゃんと芯が通っている。自分自身のからだや気持ちの「枠」をしっかり持っていて、与えられた仕事であっても言われるがままではなく、求められているものと自分のフィルターを通じて出てきたもののバランス感覚をしっかりと持って表現している。数多くいたブラコン・シンガーの中で、この人だけはそういう印象を持った。
実際日常生活の中でも、そういう人が好きなのだと思う。男でも女でも。
そんな人が持つある種の清潔さを、品格と呼ぶのだろう。
♪How Do You Keep The Music Playing
どうやって、音楽を奏で続けていこう?
どんな方法で?
あまりにもあっという間に終わってしまう歌を
どうやって歌い続けていこう?
どうやって、自分自身を見失わないでいられるだろう?
どうやって、新しい現実から目を背けずにいられるだろう?
僕たちはいつも変わり続けていくから
もし僕たちが最高の恋人になれるのならば
最良の友人でいられる
どんな運命であろうとも
もし僕たちが毎日をよりよく生きようとするのならば
音楽は決して終わらない
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