スコットランド出身のマイク・スコット率いるザ・ウォーターボーイズは、大好きなバンドのひとつだった。まるで少年向けの神秘的な冒険物語みたいに幻想的かつほのぼのとした感じの3rd[Thisi is the Sea]や、アイリッシュ・トラッド・フォークに原点回帰してゆく4th[Fisherman's Blues]も美しいけれど、このセカンドアルバムで描き出される、冷たく凍てついた風景が僕は好きだ。 荒れた手触りのサックスが氷河を渡る風のようにこだまし、ヴァイオリンが冬の月のように鋭利に輝き、その中を、まるでブリザードの中に閉じ込められたはぐれ狼の遠吠えみたいにマイクの声が響きわたる。それは、一日中降り続くぼたぼたした雪みたいに世界を真っ白く染めてすべてを覆い尽くしてゆく。
Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。 “日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。 自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。
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