No.18 / THE GROOVERS 先日、久しぶりに街へ出たときにちょっとタワレコへ寄ったら、ザ・グルーヴァーズの初期の3枚のアルバムが再発されていた。現在も活動中の3人組のロック・バンド、ザ・グルーヴァーズはG/Voの藤井一彦を中心としたバンドだが、その初期は西村茂樹というヴォーカリストを中心とするバンドだった。
88年~90年に3枚のアルバムを発表した後、西村はバンドを解雇されてしまう。ザ・グルーヴァーズのバンドの正史にはこの時期の3枚は登場しない。発売元のアルファレコードも倒産し、きっとそのまま幻として埋もれていくのだと思っていたので、再発は嬉しくて、中でも大好きだった[№18]を思わず購入してしまった。
轟音でかき鳴らされる硬質でキレのあるギター、どでかい音で気持ちよくうねるリズム隊。当時流行していたいわゆるミクスチャー・ロック的に、パンクのスピリットとファンクやブルースの泥臭さとへヴィなロックを混ぜ合わせたサウンド。ロックの歴史を踏まえつつ、誰かのものまねじゃない新たなサウンドを切り開こうとする姿勢、しかもそれは奇をてらったものではなく王道のサウンドを生み出そうとする気概に満ちている。そして何より、バンドのメンバー同士の衝突の中での化学変化が生み出す、マジックとしか言いようのないノリ、グルーヴが溢れているのだ。
この再発盤では、解雇された西村茂樹がライナーを書いている。
再発されても、このアルバムは現在のグルーヴァーズの正式な作品ではなく、今はなき「西村茂樹&ザ・グルーヴァーズ」の作品なのだ。そもそもグルーヴァーズというバンドは、もっと横ノリのある音楽がやりたくなった西村が、当時やっていたLOOSEというパンクバンドを解散させてメンバーを集めて結成したものらしい。そして、ライナーの中で西村は解雇の理由を、「事務所やレコード会社との摩擦を、一人で背負って、バンドを自分の所有物のように扱った結果」として、「人としてのNOをつきつけられた」のだと述べている。その詳しい経緯は明らかではないけれど、西村の言うことはなんとなくわかる気がする。激しい情熱に突き動かされて、こうあるべきと突き進んでいった挙句に、誰もそのことを、或いはそのことを語る自分自身そのものを支持してはいなかった…いわゆる暴走、っていう奴だ。こうあるべきと信じた真実は実はただの妄想だったのだ。しかも、そんな妄想の故の暴走を、何度反省してもまた繰り返してしまう、そんなどうしようもなさ。きっと周囲にいればそれはそれでかなり迷惑するタイプ。けれど、妄想も暴走もできないような奴とは友達にはなりたくない。
そのどうしようもなさ故の人間臭さを赦したいと思う。或いは赦してほしいと願う。
今夜 今夜 絶え間なく 君が 匂い立つ
今夜 どこまで 謎は解けるのか
今夜 音もなく 崩れるものがある
今夜 流れた 星はどこへ行く
嵐の夜でも 風のない夜でも
何か起こりそうな 予感がしたなら
聖者のように 空に向かって
世界を変える 鍵を回して
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