1988年のルー・リードのアルバム『NEW YORK』に収められているのは、環境問題や民族問題、貧困、虐待の連鎖、エイズ、戦地に出征した兵士の後遺症…そんな数々の社会問題が歌われた14曲。ギター・ベース・ドラムというシンプルで荒野のようにぶっきらぼうな編成のバンドに、呟くような語るように乗せられてゆく、かつて同性愛やドラッグなど都市の暗部をどろっと描き出したルー・リードならではのストーリィ。 例えばこの"Last Great American Whale"では、ひとしきりアメリカ先住民や捕鯨や銃社会のことを織り込んだストーリィの締めくくりに、こんなことを歌っている。 "ものごとは多数決で決められるというのが彼等の主張 けど、見るものの半分と聞くものの全てを鵜呑みにしてはいけないよ"
Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。 “日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。 自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。
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