Bridge Over Troubled Water/Simon & Garfunkel 普段ロックだソウルだブルースだと言っている身としてなんとなく照れがあるけれど、冬に独りで聴くサイモン&ガーファンクルが好きだ。 ポケットに手をつっこんで一人ぼっちでビル風吹く街の中を宛てもなくうろうろするような孤独感。 淋しくはない、ただ独りであることをかみしめたい気分。そんなときの自分だけのサウンドトラックなのだ。
Breaking Hearts/Elton John “Sad Songs” “Breaking Hearts”、或いはその前作アルバムの“ I Guess that Why They Call It The Blues” や“One More Arrow”など、エルトンのこの時期のバラードはとても心に染みる。 かじかんだ手を吐く息であたためるような、ささやかな温もりのあるバラードたち。
People Behave Like Ballads/Rebecca Martin 『人々はバラッドのように振舞う』とタイトルされたこのアルバム。レベッカ・マーティンは、かつてジェシー・ハリスとワンス・ブルーというバンドを組んでいたシンガーだそうだ。とくに上手いわけでもないけれど、訥々と唄うその歌声とシンプルな演奏は、冬の日にひっそりと和むのにちょうどいい。
SUPER FOLK SONG/矢野顕子 凛として聡明なピアノの音色。ピンと漂う張りつめた空気感と、裏腹にふくよかでやわらかな歌声。 研ぎ澄まされて澄み渡った感じは、まるで冬の夜空のようだ。 どことなく懐かしいような冬の匂いが漂ってくる。
Double Vision/Bob James 優しく包み込む毛布のように暖かい音色のボブ・ジェームスのシンセ、いつになく言葉数の少ないサンボーンのサックス。詩を朗読するようなうねりのあるマーカス・ミラーのベースにひっそり寄り添うようなエリック・ゲイルとスティーヴ・ガッド。フュージョン系の名うてのミュージシャンが集ったアルバムにろくなものは少ないのだけれど、このアルバムで描かれた世界は、とても穏やかでほっとする。そしてほんの少しせつない。熱い紅茶でも飲んでひとしきりの思い出話をした後で、満ち足りた気分でそっと別れの言葉を口にするような、穏やかさと優しさとせつなさと淋しさ、あとに残されたじんわりとした甘さと暖かさ、一握りの悲しみが入り混じる。
Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。 “日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。 自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。
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