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♪At This Morment / Billy Vera & the Beaters

By Request
By Request / Billy Vera&The Beaters


時々思う。大人でいるっていうことはしんどいことだなぁ、と。本当は誰かにすがりついて泣き叫んだりしたい気分の時でも、ぐっと我慢をしなけりゃいけない。
20代の頃ならば、自分の思いのままに心に思ったことを何でもできた。そのことで誰かを傷つけようと、自分の人生の行き先が大きく変わってしまおうと、自分自身の気持ちに素直に行動することができた。けれど、残念ながら人生も折り返し地点を過ぎてしまうと、そう簡単に思ったとおりに一歩踏み出すことができない。自分で選んできた人生へのそれなりの責任もある。
だからといって20代の頃に戻りたいとも思わないし、今の暮らしが嫌な訳でもない、きっとむしろ恵まれている方だろう。失うことを怖れて守りに入っているのではない。たくさんのメニュー、たくさんのチャンネルの中からどれかを選ばなければならないことのもどかしさと言ってしまえばみもふたもなさすぎてやっぱり違う、そんな何とも言い難い気持ちに苛まれるのだ。
きっと誰もが、もはや後戻りできない自分の人生に気がつくときがあって、そんな時どんな思いで自分の人生を受け入れるのか、或いは反逆や進路変更を企てるのか。もう少し年上の友人がいたならばぜひ尋ねてみたい気がする。

そんなことを考えてしまう夜に聴いていたのは、ビリー・ヴェラ&ビーターズ。しっかりしたリズム、高い技術で演奏される、大人らしく落ち着いたバンド、落ち着いた歌唱。そして終始淡々とした安定した歌唱や演奏の中で、ほんの少し垣間見せる、心の底のマグマみたいな熱い思い。
90年代に本国アメリカでドラマの主題歌か何かで大ヒットした(残念ながら日本ではまったくヒットしなかった)“At This Moment”は、枯葉がはらはらと窓の外を舞い落ちる静かな喫茶店で別れ話をするシーンのBGMみたいな曲だなぁ、と思っていて、訳してみたら実際そんな歌だった。別れてゆく人への思いが、泣き叫んだりせずに、ジェントルな言葉と穏やかな声で淡々とせつせつと語られてゆく。泣きわめいて「行くな」と言えればいいのに、と思いながら、ぼんやりと聴いていた。


♪At This Moment
何を思っているの?今このときに
僕の前に涙を溜めて立ち尽くす君
もう僕のことを愛していけないと告げる君は
違う自分自身を見つけたんだね

何を思っているの?今このときに
君が僕をもう愛してもしょうがないのはわかっているけれど
僕が君を呪ったり
僕が君を傷つける言葉をいうとでも思っているのかい
もう僕のことをこれ以上愛せないというのなら

僕が君を憎んでいるとか
手を挙げてぶとうとしているとでも思っているのかい
僕のことは君が一番よく知っているはず
僕がどれだけ君を傷つけたか
だからもう君をこれ以上傷つけるのはよしておこう

何を思っているの?今このときに
もし君が留まってくれるのなら
20年分僕の人生から差し引いてもかまわない
ひざまずいて君の歩いた地面にキスをしてもいい
もし君をもう一度抱きしめられるのならば

ひざまずいて君の歩いた地面にキスをしてもいい
もし君をもう一度抱きしめられるのならば


♪Hopeless Romantic
日曜日には時々
テレビの前に座って
一人ぽっちで悲しい映画を観る
子犬が死んでしまう場面で
いつも泣いてしまう

時々私は思う
ほんの少しの短い私の人生
その前後には夢の世界に住んでいたのではないかと
最高の仲間たちと大好きなことを分かち合って

私は信じている
あなたをもっともっともっとたくさん信じている
あなたはうそつきなんかじゃない
あなたが海を乾かしたと話すのならば
私はそれを真実だと信じよう

私のことを望みなきロマンチストと呼んでほしい
なぜなら私はまだ信じているから
私はまだ真実の愛を信じているから
望みなきロマンチスト
まだ真実の愛への道を見つけることはできるから



大人でいるっていうことは本当にしんどいことだ。どんなときでも分別が求められる。でも、もう後戻りできないくらい立派な大人なんだから、ちゃんと大人として振舞わなきゃいけない。それはわかっていても時々ダウンな気分に陥ってしまう。自分を形作る外枠がばらばらと崩れ落ちてしまうような気分に。
そんなときは、例えば自分を“望みなきロマンチスト”なんだと思ってみる。報われることを求めずにただ信じてみる。そうすることで、ほんの少し救われた気分になれたら、ちゃんと背筋を張って生きていこうと思える気がするから…なんていうのも大人として暮らしていくための悲しい知恵でしかないのだけれど。


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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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