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♪Horses / Patti Smith

ホーセス
Horses / Patti Smith


シベリアから流れ込んだ寒気団のせいで、風がとても冷たい年末年始だった。耳に当る風を痛いと感じたのはずいぶん久しぶりだったような気がする。
凍てつくような冷たい風、冬の張り詰めた空気に、なんとなくパティ・スミスを連想する。
まるで、神の啓示を受けて立ち上がったジャンヌ・ダルクのように、言葉だけを武器に、情念を込めてマシンガンのように世界中にぶっ放してゆくパティ。1975年のこのファーストアルバムに詰め込まれているのは、世界中のあらゆる場所で「確かに存在しているのに存在しないことにされてしまっているような魂のあり様」に、全身全霊を込めて形を与えようとしているかのようなパティの姿だ。
その声は、冬の張り詰めた風のように耳に痛い。
けれど、その姿は、凍りついた世界に背筋をピンと伸ばしてひとり立ち向かうように、凛として気高い。


♪Gloria

キリストは誰かの罪のせいで死んだ
けど、それはあたしのせいじゃない
罪深き人の坩堝に放り込まれて
あたしもずいぶんバチあたりなことしてきたわ
けど、それはあたしだけの罪
全部あたしが背負ってゆく罪

人々はみんな気をつけろっていうけれど
あたしには関係ない
言葉なんてあたしにとってはただの枠組みでしかないもの

時計台の鐘が鳴る
こんな風に歌っているわ
「キリストは誰かの罪のせいで死んだ
けど、それはあたしのせいじゃない」


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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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