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♪1992年7月 ニューヨーク

旅の終着点はニューヨーク。
テレビや映画で見ていた世界の中心地、世界の首都。
とはいえ、なんだかんだで50日近く旅を続けてきてすっかり満足していた僕にとってはもうおまけみたいなものだったので、ニューヨークでの数日はもうふつうの観光客みたいに有名な場所をうろうろしていただけだったのだけれど。
イーストリバーとハドソン川をぐるっとマンハッタン島を一周する観光船に乗った。ソーホーやグリニッチヴィレッジをうろついた。ブロードウェイを歩いてタイムズスクエアへも行ってみた。地下鉄に乗ってバッテリーパークまで行き、自由の女神のあるリバティ島や移民管理局があったエリス島を訪れた。エンパイアステイトビルに登ってニューヨークの夜景を見た。世界貿易センターはまだちゃんと二棟並んで立っていて、テロの心配はまだなかった。広大なセントラルパークを歩き、ストロベリーフィールズで黙祷してからダコタハウスへ向かった。ハーレムはちょこっとのぞいてみただけ。その当時はまだ、ニューヨークは世界一治安が悪いと言われていてガイドブックなんかにも夜は地下鉄に乗ってはいけないとかハーレムは危険とか書かれていたからやはりちょっとひいてしまったのだ。
こういっちゃなんだけど、ニューヨークは大阪とあまり変わらない気がした。
大きな川が流れていて、ビルがたくさんある街。
街路を幾つか超えるたびにいろんな表情が浮かんでくる街。
エンパイアステイトビルの展望台のレトロな感じは通天閣とそう変わらなかったし、タイムズスクエア近辺の賑わいなんていかがわしさも含め心斎橋、道頓堀の感じ、ウォール街の近辺の雰囲気も中之島あたりのそれに近い。ハーレムは天王寺、新世界、チャイナタウンは鶴橋といったところか。

50日近くアメリカをうろうろしてわかったことは、この「あまり変わらないものだ」ということ。
人間の暮らしはどこでもそんなに大きくは変わらない。
考えてみれば当たり前のことだけど、この旅を通じて初めて実感できた気がする。
当時24歳だった僕は根拠のない自信とは裏腹の様々なコンプレックスを抱えていたのだけれど、「なんだ、世界中どこでも同じやん!」と思えたことは、自分自身にとってとても大きなことだった。
言葉はじゅうぶんにできたわけではないけれど、Yes、No、Please、I want to、Where,When,What,Who,How much…せいぜい中学校一年で学んだ程度の英語が使えればあとは何とでもなった。それこそ一言も言葉を交さなくても、ファストフード店でメニューの中のある商品を指差してお金を払えば食事にありつけるのだし、第一、レストランに入れば何か食べたいに決まっているのだ。あとはいくつかの決まり文句を知っておけば、とりあえず毎日食う寝るに支障がない程度はじゅうぶんだ。
そんなわけで、最初はずいぶんたかられっぱなしだったタバコも、旅の後半ではずいぶん“もらえる”ようになったりもした。相手が火をつけたところを見計らって“Give me cigger,Please.”と言えば、ちょっと怪訝そうな顔をされながらも大抵の人はめぐんでくれる(笑)。
本当に相手に伝えたい時には、感情を表現すれば伝わるものだ、ということもこの旅の中で学んだこと。
つまりは“抗議したいんだけど英語でどう説明したらいいんだっけ、ええと、Why did you…うーん、違うな”なんてぼやぼや考えながらしゃべっていてもこちらの思いは伝わらない。おかしいやろ、と思ったらそのまま直球で日本語で「おかしいんちゃうんか、ええっ!なんでやねん!」と怒鳴った方が、少なくとも“こちらは怒っているのだ”ということは伝わるのであって、そのことさえ伝われば、この男を怒らせてしまった原因は何なのか、あとは向こうが考えてくれるのだ。嬉しい時や悲しい時にもこれは有効。ただしこれ、調子に乗って日本で多用すると、思わぬ誤解や更なるトラブルを生む場合があるのでご注意を(笑)。


さて、ニューヨーク。
ニューヨークと聴いて思い浮かぶ音楽はたくさんある。
ブルーノートやプレシティッジといったジャズの名門レーベルが数多の素晴らしい作品を録音した街。
ヒップホップを生み出した街。
ボブ・ディランが最初に名をあげた街。
ルー・リードがさかしまの世界を歌った街。
パティ・スミスやトム・ヴァーレインらニューヨークパンクの連中が青春を過ごした街。
そして、ジョン・レノンが愛し、最期を遂げた街。

でもあえて選んでみたのは、ニューヨーク出身のデュオのこの歌。
シリーズの最終回らしく、ちょっとセンチメンタルなのを。

Simon & Garfunkel - The Only Living Boy In New York

Best of Simon & Garfunkel
Best of Simon & Garfunkel / Simon & Garfunkel


Half of the time we're gone but we don't know where,
And we don't know where.

Here I am.....

 もう半分くらいまで来たのかな
 でも、ここがいったいどこなのか、僕たちにはわからない
 どこにいるんだろう

 僕はここにいる・・・・・


ニューヨークに住む少年が、相棒の旅立ちをそっと見送り、ひとりで生きていくことを決意するような歌。
旅の終わり、翼の下にニューヨークの摩天楼を見送りながらこの歌が聴こえてきたとしたら、きっとわけもなく泣いちゃうな。




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コメント

[C541]

リュウさん、毎度です。
異国の方を引き連れて身振り手振りで道案内するリュウさんの絵が浮かんで笑えました!
そう、言葉は通じなくても、気合と身振りでどうにでもなるもんです。要は心をどう通じさせるかだけの問題なのです!

[C540]

遂に旅の終着駅・・・。
言葉はあれとしても、気合と身振りでどうにかなるもんですよね♪
今はそうでもありませんが、昔かなり日焼けしていたころは、誰も日本人と思ってくれず、異国の方に道案内良く頼まれました(笑)

最後の手段は、一緒に行くでしたが(爆)

goldeblueさんの旅日記、かなり面白かったです!!

有難うございました♪

[C539]

mono-monoさん、こんばんは。お返事遅くなりました。
何を今更という旅の思い出でしたが、20年経って振り返ってみるのもなかなか楽しいことでした。まだ当時そんなに興味もなく踏み込まなかったミシシッピ・デルタあたりへは改めてじっくり訪れてみたいなぁ、なんて思いを強くした次第です。
番外編考えていませんでしたが、またそのうち、この次の年に行ったエジプト・トルコ・イスラエルの旅のことを書きたいと思っています。これはアメリカとは違って、かなり日本での感覚を捨てなきゃいけないスリリングな旅でしたので(笑)。

[C538]

「世界中どこでも同じ」という感覚、分かります。
結局みんな人間じゃん的な。
アメリカ旅したことありませんし、タバコのねだり方も知りませんが(笑)
同じ頃私はヨーロッパをうろついてたのかもしれません。

しかし旅が終わってしまいましたね。
番外編はありませんか?

[C537]

まりさん、こんばんは。
そうらしいですね、アーティの映画の撮影でレコーディングを待ちぼうけているときに作ったのだそうです。なんとなく別れの予感を漂わせつつ、深い愛情も感じます。
アート・ガーファンクルにも「ア・ハート・イン・ニューヨーク」という美しい曲があって、これも大好きです。
  • 2011-06-28 23:07
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C536]

ミモザさん、こんばんは。
僕が行った頃はちょうど治安の改善が始まった頃だったのかな。ルー・リードみたいなのがたくさんうろちいてそうな場所には近づかなかったので(笑)、ルー・リードは選びませんでした。最初はビリー・ジョエルの「ニューヨークの想い」かジョン・レノンの「ニューヨークシティ」が候補でしたが、なんとなく旅の最後、人恋しい気分になったのですよねぇ。
EBTGのこれは知りませんでした。「ダウンタウントレイン」や「アリソン」のカバーを集めた編集盤が結構好きでした。彼らの歌は、蒸し暑い日に聴くと確実に3度気温が下がりますね!
  • 2011-06-28 22:59
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C535]

PS この歌、エブリシング・バット・ザ・ガールのカバーも好きです。
 結構、原曲に忠実なアレンジなんですけど。

http://www.youtube.com/watch?v=_JVpeC_6zjE

[C534]

私もこの歌をある方からすすめられて このアルバム買いました。

っで その方によると 「ニューヨークの少年」は ポール・サイモンが 映画に夢中になっている アート・ガーファンクルへのラヴコールのようなものだと 解説してくれました。

なので なんかこの曲聴くと 自然に嬉しくなっちゃいますね。
アートのソロアルバムに入っている「ソー・マッチ・イン・ラヴ」も好きです♪

  • 2011-06-28 20:32
  • まり
  • URL
  • 編集

[C533]

ずっと楽しく読ましてもらってました。
NY来ちゃいましたね^^

NY、現在とは全然街のイメージ違ってましたもんね。
ちょっとびっくりするくらいの変化ですもんね。
ひと昔前も雑然とした雰囲気のほうが魅力ありましたけどね。

S&Gは意外でした。
ルーリードを予想してました(笑)

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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