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♪1992年6月 キーウエスト

キーウエストに行きたいと思ったのは、セブンマイルブリッジを渡ってみたい、というとてもシンプルな思いつきからだった。
フロリダ半島南端から連なる小さな島々はフロリダ・キーズと呼ばれ、一番端のキーウエストまで延々200km近くをオーバー・シー・ハイウェイと呼ばれるハイウェイが繋いでいる。その中でも全長約11kmもあるセブンマイルブリッジはまさに海の上の道。たぶん多くの方がテレビのコマーシャルやなんかで見たことがあるはずだ。
マイアミで出会った日本人とレンタカーをシェアした。
視野の前にはまっすぐにハイウェイが伸び、両脇は見渡す限りのカリブの青い海。
それは確かに感動的な風景だった。
島と島を橋でつないでしまう。その発想は良くも悪くもなんとアメリカ的なのだろう!
しかもこの橋、今まで何度もハリケーンで破壊されては再建しているのだという。そのネヴァー・ギブ・アップな精神もまさにアメリカ的だと思う。

そうしてたどり着いたキーウエストは、とても鄙びた小さな町だった。人口2万5千人、全長6キロ・幅3kmの小さな島で、島の北側にあるマロリースクエアから南側にあるサウスビーチまでは30分足らずで歩けてしまう。
マロリースクエアは夕日の見えるスポットで、夕方早くからホットドッグの屋台が軒を連ね、大道芸人がいろんな芸を披露している。波止場にはサンセットクルーズに出る観光客船。そして近くのバーからは南国風のリラックス・ミュージック。
美しく、のんびりとしていて、のどかで、まさに天国みたいな島。
おそらく今行けばきっと、もっと楽しめるのだろうという気がする。
しかし、残念ながら貧乏旅行者が一人でぶらぶらするには少し、いや、かなり不似合いだった。
そもそもセブンマイルブリッジを渡るのが目的だっただけに島に着いてしまうと何もすることがない。観光地といっても「アメリカ最南端の碑(Southernmost Point)」と「ヘミングウェイが住んでいた家」があるくらい。「アメリカ最南端の碑」は、3mくらいのばかでかいドラム缶みたいなものが置いてあるだけだし、ヘミングウェイには興味がなかった。スキューバダイビングやヨットやパラセールといったマリンスポーツは盛んだそうだが、あいにく金がない。
そんなわけで、カリブ海の青い空の下、朝は近所を散歩、昼間はユースホステルでごろごろして、夜になったら酒場をウロウロ・・・そんなふうにして数日を過ごしたのだった。

マイアミへ戻る朝、歩き慣れたマロリースクエアへの通りより西側に、まだ行ったことがないエリアがあることに気付いた。こっちへ行けば西側にもまだ行ったことがないビーチがあるはずでは?そう思って何百メートルか歩いていくと、そこにあったのは黄色と黒の立ち入り禁止のボードと鉄条網に覆われた敷地。そしてヘルメットをかぶって銃をかついだ兵士の姿。
そう、ここは海軍の基地の島でもあったのだ。そういえば「アメリカ最南端の地」と書かれた記念碑には“キューバまで90マイル”の文字があった。それを見たときは「そうかー、キューバが近いんだ。」なんて思っていただけだったけれど、この島は本当は単なる観光地じゃなくて、社会主義国キューバを牽制する役割を担っている島だったのだ。このキーウェストのひとつ東側の島は、島全体が海軍の飛行場でもあるらしいことも後になって知った。
鄙びたのどかな天国みたいな島が、実はアメリカの軍事要塞でもある。これも実にアメリカ的な風景だと思った。


ベスト・オブ・ハリー・ベラフォンテ
The Best of Harry Belafonte / Harry Belafonte


“We Are The World”の〆の方で大御所面して出演していたハリー・ベラフォンテのことを当時は「このおっさん誰やねん??」と思っていたけれど、“バナナ・ボート”さらばジャマイカはきっと多くの方がご存知だろう。
南国情緒あふれるのどかで陽気なリズムを持つ音楽、カリプソ。
このカリプソも、キーウエストと同じように、明るさや陽気さの背後にとてもヘヴィな影がある。
カリプソは19世紀後半、奴隷制度の廃止を受けて解放されたトリニダードやマルチニークなどのカリブの島々の黒人たちが、ニュースをを歌って広める方法として発展した音楽らしい。いわば河内音頭のようなもの。そしてその歌詞は猥雑なものから政治的なものまで幅広くまたそのメッセージはかなり過激で、検閲を逃れるために比喩や暗喩を多用していたらしい。早い話が、カリブ版のブルースだ。
“バナナボート”は、バナナ農園で働かされる労働者が「もう日が昇る。早く帰らせてほしい。」と歌う歌。「早く数えて伝票を切ってくれ。6房、7房、8房・・・ほら、美しいバナナじゃないか。」ってな感じ。…このあとに続く「Hide the deadly black tarantula」は表面上「死んだクモが紛れてたってごまかしちゃえ」なんだけど、実はもっとえげつないことの比喩なんじゃないかしら、なんて思ったりするのだ。


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コメント

[C518]

beck-2910さん、こんばんは。
キューバ、一度は行ってみたいですねぇ。なかなかそんなヒマはなさそうで、アイルランドも、誘われたとき無理して行っとけばよかったと思ったりしてます。
BAND'IT、なかなか精力的にやってますなぁ。ネガポジ、もちろん参戦させていただきます!
  • 2011-06-14 23:11
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C517] 毎度です。

わしは、個人的にはいつかキューバに行ってみたいです。で、ブエナビスタの馬券はいつも買うと決めてます。
で、6月25日、丸太町「陰陽」でライブしますので、よろしければ、はい。ではー。
  • 2011-06-13 17:45
  • beck-2910
  • URL
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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