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♪Against the Wind / Bob Seger & the Silver Bullet Band

Against the Wind
Against the Wind / Bob Seger & the Silver Bullet Band


(拙訳:Against The Wind)

まるで昨日のことのようだけれど
もうずいぶん前のこと
ジェニーっていう最高に素敵な女の子と
暗闇の中で秘密を分かち合ったんだ
ラジオが低く流れていた夜
燃え盛る炎を誰も止められないように
燃え尽きるくらい愛を証明し尽くしたんだ
ずっと永遠に終わらないって誓うわ、って言っていた
彼女の言葉を思い出す
彼女がどんなにきつく抱きしめてくれたのかを思い出す
あの頃知らなかったことを 今も知らなければよかったけれど

向かい風に向かって
向かい風に向かって走っていた
あの頃俺たちは若くて強かった
向かい風に向かって

時はゆっくりと流れ
今ひとりぼっちの俺がいる
見知らぬ人に囲まれて
遠く離れた友人のことを思う
故郷から遠く遠く離れた場所で
自分の本当の姿を見つけたんだ
たくさんの道があったのにどうやら道に迷ってしまったらしい
ただ生きるために走り続けてきた
どんなものを背負うことになろうと何にも心配などしていなかった
無茶なスピードで突っ走りながら
ありとあらゆる規則を破って
自分自身を探していたんだ
自分自身の隠れ家を探し続けて逃げ回っていたんだ

向かい風に向かって
ほんの小さな何かが風に逆らって
自分自身でいられる隠れ家を探していたんだ
向かい風に向かって

そんなさすらいの日々は過ぎて
使命と締め切りについて今は考えている
何を残して 何をはずすべきか

向かい風に向かって
もはや俺は年老いてしまったけれど
今も走り続けている
向かい風に向かって



“Against the Wind”は、ボブ・シーガーの1980年の最大のヒット曲。
淡々とリズムを刻むアコースティック・ギターと乾いたピアノに乗せて、過去を甘く振り返るようなしわがれた声でボブの歌が流れ始める。
目を閉じてその音に耳を澄ますと、かつて過ごしてきた日々の断片が脈絡もなく心のスクリーンに浮かび上がっては消えてゆく。
仲間の下宿に集まって朝までとりとめもない話をした後で夜明けに食べる牛丼の味、くだらないことでカッカしては怒鳴り散らしてしまった後のなんともいえないやるせなさ、遠くに離れてしまった友人からの子供の写真の添えられたハガキ、お世話になったパートさんが退職の日に伝えてくれた感謝の言葉、兄貴が事故を起こした知らせを受けて病院に向かう母のうろたえた表情と父の覚悟を決めたような表情、アルバイトしてたファミリー・レストランの若い社員が仕事を終えた後に見せる仕事では見せないちょっと泣きそうな笑顔、あの人からの手紙、暗闇の中の甘いキスと抱きしめたあたたかさ。
思い出したらキリがないくらい、いろんなシーンとたくさんの顔が甘く苦く心をよぎる。
びびったり突っ張たりひよったり誤魔化したりすねたり弱気になったり意地を張ったりを繰り返しながら過ごしてきた日々は、決して向かい風の日ばかりでもなかったけれど、走馬灯のようによぎる思い出の中で改めて、いろんな人に出会っていろんな人に支えられて過ごしてきたのだなぁ、と少し謙虚な気持ちになった。彼ら彼女らの記憶の中で僕は一体どんな顔をしているのだろう。笑顔だったらいいのだけれど、そう言える自信はまるでなくて、なんだか将来は坊主にでもなってお世話になった人やご迷惑をお掛けした人に感謝を伝えたり謝罪したりする行く旅に出たい、なんて気持ちになった。そしてそんなことを思う自分がなんとなく可笑しくなった。
だから、そんなセンチメンタルな気持ちを呼び起こす“Against the Wind”は名曲だと思う、などと照れ隠しに呟いておくことにする。



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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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