Dust My Broom / Elmore James ハウリン・ウルフの対極にある繊細なブルースといえば、エルモア・ジェイムス。まるで命をナイフで削り出すかのようにエレキ・ギターをスライドさせるスタイルを作り出し、多くのフォロワーを生んだ。いわゆる“キャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャダッタダタダダッタダッタキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャダッタダタダダッタダッタ”っていう例の奴です。
そして、やや甲高いキーのエルモアのヴォーカルには、どこまで行っても取り払いようのない悲しみがつきまとっているように聴こえる。ブルースと真っ向から対峙したマディ・ウォーターズ、ぶっとばすように振舞ったハウリン・ウルフ、笑い飛ばしてしまったボ・ディドリーやジミー・リードと比べて、エルモアは正直すぎる。そんなに真っ正直にブルースを抱え込んでしまっては勝てっこない、そもそも勝つ気なんてない。最初っからあきらめた上で、それでも吼えざるを得ない心の中に宿った何か。
ロバート・ジョンソンが描いて見せたブルースの狂気。彼と同じ道をたどらないためにロバート・ジョンソンの魂からどれだけ遠くへ行けるかが、次の世代のブルースマンに与えられた課題で、そこからロックンロールは生まれた。そんな中でエルモアだけは、ロバート・ジョンソンの魂に殉じてそれを継承することを選んだのだと思う。
いわゆる三角関係の横恋慕というよくあるテーマを歌ったブルース“ It Hurts Me Too”。「きみがうまくいってないときは俺も同じように傷ついているんだよ」というフレーズがいかにもエルモアらしい。
(拙訳:It Hurts Me Too )
傷ついて心を失いそうだときみは言う
きみの愛する男はいつもきみを傷つけるんだな
きみがうまくいってないときは
俺も同じように傷ついているんだよ
あいつが引けば引くほどきみはもっと追いかけてしまう
あいつの影で俺はずっと待っていたんだ
きみがうまくいってないときは
俺も同じように傷ついているんだよ
あいつは他の女にいかれて、俺はきみを愛してる
けどきみはあいつを愛している まるで接着剤みたいにさ
きみがうまくいってないときは
俺も同じように傷ついているんだよ
あいつとは別れたほうがいい
あいつもそうしたがってる
けどそのことできみが落ち込むのを見るのは辛い
きみがうまくいってないときは
俺も同じように傷ついているんだよ
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