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♪First time ever I saw your face / Roberta Flack

First Take
First Take / Roberta Flack


音楽家の家庭に育ち、クラシックやオペラの声楽などの正式な音楽教育を受けたロバータ・フラックは、1969年に30歳を過ぎてからデビューした異色ミュージシャン。60年代にはまだまだショー・ビジネスの世界での黒人女性の位置づけは「歌って踊れる」色物でしかなく、一方で差別の根強いクラシック界でも生半可な才能では入り込む余地さえなく、いくら才能があったとしても現実的には音楽の講師をやったりナイトクラブで歌ったりするしかなかったのだという。
そんなロバータに浮上のきっかけを与えたのもやはり時代の流れ。
黒人であり女性である、二重に抑圧されてきた人間の誇りを静かに歌うシンガーとして、その解放の象徴として脚光を浴びてデビュー。またその音楽は、学んできたクラシック的なソフトで洗練された音楽性に、プラス黒人として肌で吸収してきたジャズやゴスペル、さらにフォークやシンガーソングライター的な内省的なインテリジェンスを加えた、これも新しい時代を感じさせるものだった。
このファースト・アルバムを聴いて感じるのは、そんな公民権運動の盛り上がりと呼応した60年代末期の新しい時代への息吹。
残念ながら当事者のロバータ本人は、むしろ良い音楽を演奏したいという純粋な気持ちが強かったのか、そもそも時代に踊らされやすいタイプだったのか、この後「Quiet Fire」というニュー・ソウル臭のぷんぷんする作品を発表したり、時代が変わった80年代にはのっぺりしたブラコンシンガーになり下がってしまったけれど、歌って踊れるアイドルか、でっぷり肥えたゴスペルライクなビッグ・ママ風か、そんなステレオタイプしかなかった黒人女性シンガー像に新しい風を吹かせた。そのことが世界中に与えた影響は決して小さくはないはずだ。


(拙訳:First time ever I saw your face)

初めてあなたに出会ったとき
あなたの瞳に太陽が昇っているのを見た気がしたの
月も星も空の果ての暗闇に
あなたが贈ったプレゼント

初めてあなたとキスを交わしたとき
捕らわれた小鳥の心臓みたいに
あたしの心は震えていたの
自分でせがんだくせに

初めてあなたと眠ったとき
あなたの心がとても近くに感じたの
私たちの悦びは世界中を覆い
永久に続くんだと思っていたわ
愛しい人

初めてあなたに出会ったとき


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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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