MTV Unplugged No 2.0 / Lauryn Hill なんとなく特に深い思い入れもなく中古CD屋で手に取ったローリン・ヒルのこのアルバムは衝撃的だった。
新しいアーティストが巷で話題になっても手を伸ばさなくなってもう10年以上経つ。いつのまにかそんな情報にすら興味を示すこともなくなって、買うCDといえば昔から好きなアーティストの新譜か再発モノばかり。こうやって時代と離れた場所でオヤジになっていくんだと知りつつ、売らんかなの魂胆で消費されるために発売されるようなポップスはもちろん、もはや終わってしまった場所で学芸会の如くごっこを繰り広げるような数多のバンドやシンガーの音を聴いてもまるで結末の見えた映画みたいで心を揺り動かされないし、ラップやヒップホップにはもはや文化的にも世代的にもギャップが深すぎて馴染めなかったし。
ローリン・ヒルのアルバムが一世を風靡したのは知っていたしその幾つかの楽曲は耳にしていたし悪くはないとは思っていた、けれど所詮は消費されていく歌の上手なお人形さんなんだろうと思っていた。
そんなローリンの2002年に発売された2枚目のソロアルバムは、自らギターを弾き、語るように歌い歌うように語るアルバム。そこから聴こえてきたのは、ラップでもソウルでもブルースでもゴスペルでもない、或いはその全てともいえる音楽。技術的にも決して高くはない、けれどリズムの確かな彼女自身のギターと歌だけで構成される音楽がどうしてこんなにも豊かなのか?そこには確かに「誰々と何々に影響を受けてミックスしたらこんな音になりました」風ではなく、黒人として女性としての自らの出自、その背景にある黒人としての民族の歴史、女性の抑圧と解放の歴史を実際心に刻み込んだ上で、先人が伝えてきたメッセージのバトンをしっかりと受け継いでいる姿がある。そしてそれを自分自身のメッセージとして伝えようという志が、彼女の音楽を豊かにしているのだと思う。
(拙訳:I gotta find peace of mind)
心の安らぎを見つけたの あなたにも聞えるでしょ
あなたもトライすれば手に入れることができるわ 心の安らぎ
あいつはそんなことは不可能だって言った
けどあたしはできると思っていた
あいつは自分の手助けなしにそんなことは不可能だといった
どうかあいつのことは忘れさせてほしいわ
あいつはいつもあたしを捕まえて あたしを罠にかけて あたしのエネルギーを奪っていたのよ
あいつが原因の痛みを全部話してしまいたいのよ
あいつはそんなことは不可能だって言った
けどあたしはできると思っていた
あたしが思うに、最終的には「愛」なのよ
所有権ではなく信頼をベースにした
あたしはあなたのすべての部分を信じるわ
不安定で未熟で、時々自分自身でもどうしていいのかわからなくなるあたし自身のこともわかった上でそれでも愛してくれるから
あなたはあたしを刺激して
もっと高い場所へ連れて行ってくれる
そんな欲求をかきたてる
なんていって言いのかわからないけど
あなたはあたしの心の安らぎ
昔のあたしはもう置いてきたの
あいつはそんなことは不可能だって言った
けどあたしはできると思っていた
あたしの心を解き放って
あたしの心に向き合って
何もかも
自由に
解き放って
それはできるのよ
新たな可能性へのチャンスは毎日訪れるから
慈悲深く 素晴らしき神よ
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