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♪Walls come tumblin' down / The Style Council

アワ・フェイヴァリット・ショップ
Our Favourite Shop / The Style Council


「街で輝いた顔をしているのは25歳以下の連中ばっかりだ」
「若い連中は言いたいことがいっぱいあるのに大人はそれを怖れて耳を傾けようともしない」
1977年のポール・ウェラー率いるザ・ジャムのファースト・シングル“In The City”は、そんな若さゆえの勢いにあふれたメッセージを持つ歌だった。ポール・ウェラー、このときわずか19歳。
ザ・ジャムはいわゆるネオ・モッズとして、60年代中期のフーやスモール・フェイセズ直系のシャープでシンプルなビートを持ついかしたロックンロールバンドで、本国イギリスではカリスマ的な人気を誇っていたけれど、より黒人っぽいソウルフルな音楽を演りたいというポール・ウェラーの音楽性の嗜好の変化により人気絶頂のまま1982年に解散。新たなプロジェクトとして立ち上げたスタイル・カウンシルは、ソウルやファンク、ジャズやボサノヴァといった黒人音楽的な要素をふんだんに取り入れたコンテンポラリーでこざっぱりした洒落た音楽で、その音触りの変化に旧来のファンは戸惑い驚いたのだった。
けれどポール・ウェラーの放つメッセージの辛口度や辛辣さは変わりなく、金持ちや権威を批判しまり、失業問題や政府批判や革命賛美的なことをスムーズで洒落たサウンドにのせて歌っている。その洒落たサウンドはいわゆるおしゃれなBGMとして(ジャム時代は無縁だった)おしゃれでスノッブな人たちにも支持されたけれど、そこに痛烈な歌詞がのること自体が(ある種自虐的な意味も含めて)強烈な皮肉だったし、若かった僕はそのことをとてもクールだと思った。青筋たてて怒鳴るだけが能じゃない、苦いメッセージを糖衣で包んでより広く遠くへ飛ばすやり方も有りなのだ、と。
ポップで快活なビートに乗せて歌われる「きっと壁は崩れ落ちる」というメッセージは、どんなに理論的に組み立てられた論文よりも力のこもった演説よりもはるかに速く人々の脳みそに到達し、血液にのって体中を駆け巡り、つい鼻歌で「きっと壁は崩れ落ちる」なんて口ずさんでしまうように浸透する。
この歌の発表から4年後、実際ベルリンの壁は崩れ落ちた。

(拙訳:Walls come tumblin' down)

くだらない戯言にとらわれる必要は無い
どっかり座ってリラックスしている場合じゃない
君次第で状況を変えることは出来る
僕らはいつだって「長いものには巻かれろ」と教え込まれてきたんだってわかってる
けど、君が本気でトライしたらどんなことができるかなんてことは知らされてこなかった
もし僕らが共に戦えばどんなに強いのかってこと

この仕事に乗り出してみないか
それとも泥沼の中で過ごす続けるつもりなのか
物事は変えることが出来るんだ
ほら、あの壁だって崩れ落ちるんだ
僕らが強く固く団結すれば
政府は分裂し体制は崩壊する
灯りは消され、壁は崩れ落ちるんだ

賞品に貰ったのはカラーテレビ
そして僕らはビデオの中の静止画面みたいに
分割払いの奴隷にされてしまった
そしてついには持つものと持たざるものに区分けされ
いわゆる格差社会って奴?に
団結さえ脅かされてしまった
人参を目の前にぶら下げられたロバみたいに走らされて
今や自分がどこにいるのかさえわからない

実感してるだろ
階級闘争は神話なんかじゃなく現実のものだ
けど、イェリコの壁みたいに
壁は崩れ落ちてゆく

民衆の敵第10号に脅かされながら生きてゆくのかい?
権力争いに夢中のお偉方
奴らが「賃上げなんてとんでもない」と語るとき
結局利益を得るのは奴らでむしりとられるのは僕ら

この仕事に乗り出してみないか
それとも泥沼の中で過ごす続けるつもりなのか
物事は変えることが出来るんだ
ほら、あの壁だって崩れ落ちるんだ
僕らが強く固く団結すれば
政府は分裂し体制は崩壊する
灯りは消され、壁は崩れ落ちるんだ



この時期、会社の労働組合は冬季ボーナス賃上げ要求を掲げて闘いを求めてくるけれど、彼らのやり方はどうも古臭くてうさんくさい。今年はかなり情勢的にも厳しいようで、交渉は平行線だけれど、職場の連中は団結どころかおとなしい羊みたいに従順で労働組合なんてものにははなから期待を寄せてはいない。労組もいいかげん古臭いイデオロギー的な言葉遣いをやめて、ポール・ウェラーみたいにしゃきっとポップにパワフルにできんもんかい、と思う今日この頃ではある。



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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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