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♪わすれな草 / のっこ

ベランダの岸辺
ベランダの岸辺 / のっこ


風が強く吹くね 大きく揺れる枝の緑がきらきら
波立つ季節 ベランダの岸辺では
一緒にいるだけで どこへでも飛べそうね
風のせいにして 何も聞かない
ほら、もう日が暮れるよ

すみれ色に染まる空に 木々は黒くうねり続け
灯りがひとつ 星がひとつ そしてキスをひとつよりも
コバルトの世界が 岸辺を包み込む
足元で揺れていたよ あの日 わすれな草

あなたといる他のために退屈があり
なんて寝転んでいるうちに 夏が深まってゆく
汗ひとつかかずに 重いドアを開くと
破裂するような眩しさだけが
すべてを熱していた

あなたへのときめきには ウソつかずそのままにした
まるで永遠に続くような この夏の暑さのように
コバルトの世界が 岸辺を包み込む
足元で揺れていたよ あの日 わすれな草

すみれ色に染まる空に 木々は黒くうねり続け
灯りがひとつ 星がひとつ そしてキスをひとつよりも
そして夢の中に 岸辺を映しこむ
足元で揺れているよ あの日の わすれな草

足元で揺れていたよ あの日 わすれな草

    (わすれな草 / のっこ)



学生時代、軽音楽部の女の子ヴォーカルのバンドは、猫も杓子もレベッカだった。誰もが元気で、生意気で、はじけるように踊りまくるNOKKOに夢中だった。
そんな元レベッカのNOKKOさんの「のっこ」名義のソロ・アルバム。
このレコードでの“のっこ”さんは、チャキチャキの元気印のNOKKOさんとはまるで違う表情で、ふとひとりになったときに見せる寂しげな横顔みたいで、なんだかきゅっとした気持ちになる。
せつない歌声を聴きながら、風が強く吹くベランダの岸辺で日が暮れるのをじっと眺めていた。
秋は深まる。


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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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