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♪I Shall Be Released / The Band

Music From Big Pink
Music From Big Pink / The Band


(拙訳:I Shall be Released )

全てのものは代わりがきくと奴等は言う
けど全てがすぐ近くにあるわけじゃない
そして僕は思い出しているんだ
僕をここまで連れてきたあらゆる人々の顔を

僕の光が見えている
西から昇って東へ沈んでいく
いつの日にか いつの日にか
解き放たれる日が来るだろう

誰もが加護の下にあるべきだと奴等は言う
誰もが落ちぶれてゆくものだから
けど誓って言う、僕には僕の影が見えるんだ
この壁の上のどこか上のほうに

僕の光が見えている
西から昇って東へ沈んでいく
いつの日にか いつの日にか
解き放たれる日が来るだろう

寂しい群衆の中で僕の隣にいた男
誓いを立てた男が責められる所以はないけれど
俺ははめられたんだと大声で泣き叫ぶ男の声を
一日中聞いていたんだ

僕の光が見えている
西から昇って東へ沈んでいく
いつの日にか いつの日にか
解き放たれる日が来るだろう



ザ・バンドが解散したのは1976年。たくさんのゲストを呼んだ華々しい最後を『ラスト・ワルツ』という映画にして。
解散については、メンバーの酒とドラッグによる体調不良や、アルバム製作にもっと力を入れたいロビーと、ツアーにこだわるメンバーとの意見の相違の中でバンド自体が煮詰まってしまったからと言われているが、それぞれの納得のいく解散ではなかったのだろう。或いは解散して改めて、ザ・バンドの名において起きた奇蹟を実感したのだろうか。
解散後、彼らはおのおののソロ活動に入るが、7年後の1983年に、ロビー抜きの4人はザ・バンドを再結成しツアーに出る。
懐メロだの昔の遺産で食っているだの金儲けだのと揶揄されることを覚悟の上で彼らがツアーに出たのは、ツアーの日々こそが彼らの人生だったからだ。理論やコンセプトなんてどうでもいい、俺たちはただ観衆の前で演奏したい、ザ・バンドを解散させてみて初めてわかった、このメンバーだったからこそできる最高の演奏をもう一度、ロバートソンがいなくても俺たちには最高のロックをプレイできる腕と魂とプライドがある…そんな思いだったに違いないという気がする。
そのツアーで、四人のザ・バンドは、素晴らしい演奏を披露した。
けれど、1986年のワールド・ツアーの最終日にリチャード・マニュエルはホテルの一室で自殺してしまった。42歳だった。
おそらく彼は、自分の人生のピークを見てしまったのだと思う。絶頂の時期はもはや済んでしまった、こんな幸せはもはやこの先の人生で味わうことなどできっこないと考えたのに違いない。楽しいことは何もかも過ぎ去って、この先下ってゆくだけの人生に果たして価値があるのだろうか?いっそこの幸せの絶頂の中でおしまいにしてしまおうか。そんなことを考えたのだろうか。
その感じを肯定するわけにはいかないけれど、少しわかる気もする。
そんなドラマの結末を知って後に聴く、ザ・バンドのファーストアルバムでのリチャードの名唱、“I Shall Be Released”。リチャードにはどんな光が見えたのだろう。




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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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