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♪Rising Sun / 矢沢永吉

RISING SUN(紙ジャケット仕様)
RISING SUN / 矢沢永吉


80年代前半のAOR路線の矢沢永吉がけっこう好きだ。
今やCMなんかで渋いオヤジぶりを振りまいているけれど、あの頃矢沢永吉は、良識ある大人からすれば眉をひそめたくなるような不良の代表で、ある種の少年たちにとっては神様にも匹敵するスーパースターだった。矢沢=ロック=不良、そんな図式は当時確かにあった。
一時期よく読んだ重松清さんも当時矢沢永吉の大ファンだったらしく、著書にも当時の不良少年たちの様子が微笑ましく描かれている。筆箱やらカバンやらあちらこちらに「E.YAZAWA」のステッカー貼って、「~だぜ、ヨロシク。」なんてかっこつけてた。きっとどこの学校にも一人や二人はいたと思う。僕はといえば、その頃はまだ、そんなものは不良の音楽だと思っていた。「成りあがり」も読んだけど、そこに描かれた世界は、ベッドタウンの中学生からははるかにほど遠い、共感しようのない世界だったからだ。

そんな「不良」イメージとは裏腹に、永ちゃん自身はアメリカへ渡り元ドゥービー・ブラザースの連中らと、キャロルや初期のソロ時代の不良っぽさとはまるっきりかけはなれた西海岸的な洗練された音楽に挑戦していた。古くからのファンの人たちがそれをどう聴いていたのかはよくわからないけれど、今聴いても非常にかっこいい、洗練された大人の音楽。大人の恋や苦い思いを、クールで乾いたサウンドで、男心のセンチメンタルを見事に描いていると思う。
当時、矢沢30代半ば。少年の頃はよくわからなかったような世界が、今この歳になったからこそリアルに響く気がする。


街を抜け出したこんな夜
テラスにはセプテンバー・ムーン
苦いスコッチをかきたてて
海からの苦い風
Baby,Sorry 何故いつまでも
苦しめた あの夏の日を
Baby,Sorry もう一度だけ
夢でいい 愛していると

人の過ちの愚かしさ
照らすのか セプテンバー・ムーン
一度失って誰にない
あの女のあの重さ
Baby,Sorry 酔いきれるまで
月影に グラスを掲げ
Baby,Sorry 悪い奴
Baby,Sorry 九月は寒い

   (Septeber Moon / 矢沢永吉)



矢沢永吉がオヤジになった今もかっこいいのは、なんだかんだいっても売れてなんぼ、支持されてなんぼ、という潔さと、だからといって時代に媚びたりはせず、自分の資質の中で今自分に求められるものを、過去にこだわらずに変化させてゆく、そんな頑固さと柔軟さのバランスの妙を持ち合わせているからだと思う。ちゃんと大人になろうとあがいた人だけが失わずにいられる、永遠の少年のイノセンスを感じるのだ。



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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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