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♪秋JAZZ

気温が低くなると、ジャズが心地よくなる。
なぜかはわからないけれど、気温が20度を下回る頃になると、ただ流れる音楽に身を委ねるのがしっくりくるようになるのだ。自分からは求めない、ただ流れる時間に身をまかせてみる。
最初、音楽への入り口は、実は「音」ではなく「言葉」だった。中学生になるかならないかの頃、巷に流れるニュー・ミュージックの一連のアーティストの歌った言葉は、思春期の入り口を開いてくれた。言葉にない音楽なんて、その頃はちんぷんかんぷんだった。
その次は「ビート」だった。とにかく激しければなんでもよかった。自分自身の存在を叩きのめしてくれるようなビート。ビートの中でうずもれていくことが快感だった。それが18、19の頃。その頃はジャズなんて、饒舌なこれみよがしのひけらかしの垂れ流しでしかないと思っていた。
ジャズが好きになったのは30を越してからだ。それまでは追い求めることで自分が成り立っていた。
流れゆくものに身を委ねることの居心地の良さを知ってから、ジャズの良さがわかりはじめたのだ。

正統派のジャズ・ファンにとっては邪道かもしれないのだけれど、僕はジャズを「雰囲気」で聴く。
メロディーやフレーズなんてほとんど聴いていない。テーマだろうがアドリブだろうがスタンダードだろうが巷で名演と呼ばれていようがそんなことはどうでもいい。
音を通じて聴こえてくる風景や世界が好きか好きじゃないか、だけが好みのすべて。
ロックやソウルより遥かに、楽器を通じて演奏している人間そのものがあらわになる音楽、それが僕の感じるジャズの魅力なのだ。

秋、密やかに、艶やかに、しっとりと、まったりと、流れる音に身を委ねながら。

 

Park Avenue South    4,5&6    Beyond the Missouri Sky (Short Stories)

ゲッティン・アラウンド    吉田日出子 ショートボート・イヤーズ

Dave Brubeck/Park Avenue South
御年88歳になるデイヴ・ブルーベック師の2003年のライヴ。カフェのような小さなハコならではのアットホームな空気感がほっこりする小春日和の一日のような音楽、しかし爺さんのひなたぼっこなんかではない。生涯をかけてきた音楽に、80超えてもちゃんと向き合えるだけの情熱。半端じゃない。

4, 5 and 6/Jackie McLean
のっけから“センチメンタル・ジャーニー”、艶のあるフレーズでぐっと心をつかまれてしまう。
なんていうんだろう、ジャッキー・マクリーンのちょっと不器用で馬鹿正直な音色が好き。その馬鹿正直さに振り回されて時々うんざりすることもあるけどやっぱりほっとけない愛すべき男、みたいな色気があるのだ。

Beyond the Missouri Sky (Short Stories)/Charlie Haden & Pat Metheny
秋の夕暮れはつるべ落とし。子供の頃、家の前の広場で兄貴と兄貴の友人達といっしょに、日が暮れるまでさんざん遊んで母親に「晩ご飯よ!」って呼ばれて泥んこになって家に帰ったらおいしいにおいが漂っていた、お風呂に入ったらいつついたのかわからないようなかすり傷がひりひりした…そんな情景をふと思い出すような、懐かしくも温かい世界。
チャーリー・ヘイデンのベースはどんな演奏でも文学的というか、物語がある音がする。

Gettin’ Around/Dexter Gordon
“Everybody's Somebody's Fool”ていうバラードが大好きで。
デクスター・ゴードンの印象は、純でシャイで朴訥とした男。普段はとても無口だけれど、酔っ払ったらたまに、本気とも冗談ともつかないような壮大な夢をふっと呟いたりするような。
どこかのどかな感じのジャケットも素敵です。

吉田日出子 ショートボート・イヤーズ/吉田日出子
どういう経緯だったかは忘れてしまったけれど、昔、舞台を見に行ったことがあるのですよ。吉田日出子と串田和美のオンシアター自由劇場の『上海バンスキング』。生の芝居で生のジャズ、あれはかっこよかったなぁ。ホットでスゥインギーなバンドの演奏と、ちょっと脱力系の日出子さんの唄声。
"月光価千金""貴方とならば""リンゴの木の下で"…秋の夜長にはんなりとスゥイングする。




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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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