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♪Me and Bobby McGee / Janis Joplin

Greatest Hits
Greatest Hits / Janis Joplin


(拙訳:Me and Bobby McGee)

バトンルージュでひと騒ぎして、汽車を待っていたの。
ジーンズと同じくらい色褪せた気持ちで…。
遠くから歌いながらやってくるディーゼル車をボビーが見つけたの。
そしてニューオーリンズまで旅をしたわ。
赤い汚れたバンダナに包んだハーモニカを取り出して、
ボビーが歌うブルースに合わせてそっと吹いたの。
ワイパーがリズムを刻み、あたしはボビーの手を取っていた。
私たち、運転手の知っている歌をひとつ残らず歌ったの。

自由っていうことは、失うものなど何もないってこと。
自由でなきゃ何にも意味なんてないわ。
いい気持ちになるのは簡単なことだった。
あいつがブルースを歌うだけでほんとサイコーに気持ちよかったわ。
あたしと、ボビー・マギー。

ケンタッキーの炭鉱からカリフォルニアの太陽まで、
あたしたちは秘密を分け合ったの。
どんな天気だって、何をやったて、
ボビーはどんなことからもあたしを守ってくれたの。
けど、あの日、そう、サリーナの近く。
あたしはあいつの手を離してしまったの。
ずっと故郷を探していたあいつ。
うまく見つかったのならいいんだけれど。
あの一日のためになら、あたし、
明日のすべてを売り払っても構わないわ。
ボビーに寄り添うためならば・・・。

自由っていうことは、失うものなど何もないってこと。
自由でなきゃ何にも意味なんてないわ。
いい気持ちになるのは簡単なことだった。
あいつがブルースを歌うだけでほんとサイコーに気持ちよかったわ。
あたしと、ボビー・マギー。

自由っていうことは、失うものなど何もないってこと。
何もない、何もないわ。
けどあたし、ボビーを見送ってしまったの・・・。

あたしと、ボビー・マギー。



ジャニス・ジョプリン。その魂を絞り出すような歌、酒とクスリと男に翻弄される奔放な私生活、わずか27歳でのドラッグによる夭逝。僕らがジャニスを知った時、それは既にロック史の中の痛々しくも激しい伝説だった。
伝説に振り回されるのはやめて、一人のシンガーとして耳を澄ましてみよう。するとそこには、伝説に埋もれ酒やドラッグやハードなロックに溺れる姿とは違う、かわいらしい一人の女の子としてのジャニスの姿が浮かび上がってくる。
中でも一番好きなのは“Me and Bobby McGee”。
共に旅をして別れてしまったパートナー。失って初めて知る大切な気持ちをせつなく思い起こさせる。そして、それがもう過ぎ去ってしまったということを狂おしいまでに掻き立てるジャニスの声は、まるで夏の去り際に吹く夕方の涼しい風みたいに乾いたあきらめをはらんで通り過ぎてゆく。

「自由、言い換えれば、失うものなど何もないこと。自由でなけりゃ何の意味もないわ。自由になるのは簡単な事だった。あんたがブルースを口ずさむだけで、あたしはいい気分だったわ。」
まったくその通りの言葉をジャニスに贈りたい。


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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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