FC2ブログ

Entries

♪On The Beach / Chris Rea

オン・ザ・ビーチ
On The Beach / Chris Rea


(拙訳:On The Beach )

恋する瞳であなたの名前をささやいて
誰からも見えない壁の向こうへ
よく行ったものだ
夏の風に乗って聴こえてくるあのメロディ
懐かしいあの場所へ連れて行ってほしい
あの浜辺へ

夏の秘密を隠し持ったまま
時の砂はいつか謎を解くのだろう
月明かりの下
あなたと僕以外誰もいない浜辺
懐かしいあの場所へ連れて行ってほしい
あの浜辺へ

夢の中で永遠に
この甘いメロディに酔いしれる
奇妙な欲望に包まれて
炎のように燃えたあの夜
懐かしいあの場所へ連れて行ってほしい
あの浜辺へ



誰も居ない浜辺で、ラジオにそっと耳を傾けると、聞こえてくるのはこんなメロディかも知れない。喜びも悲しみも通り抜けてきたような渋い声、乾いたギター。あの夏の空と海。今年の夏と何が違うのだろう…なんて、センチメンタルな気持ちを呼び覚ます。
思い出すのは甘い記憶。
それが今ここにないこと、二度と訪れることがないかもしれないことが人を苦しめる。そんなに苦しいのなら忘れてしまえばいい。いや、とても忘れることなどできそうもない、そして、忘れてしまいたくはない。そんな甘い記憶。
そんなときにできることは何だろう。
例えば、その甘い記憶をちゃんと葬ってきれいな思い出にしてあげること。
アルバムを作ったり、形見や思い出の品を大切にとっておいたり、記念日を作ったり、お葬式をしてお墓を建てたり供養をしたり、昔から人はそんな風にして二度と戻ることのない記憶の苦しみから逃れなおかつ決して忘れない工夫をして、失われた甘い記憶に対処する術を培ってきた。ひとつひとつの出来事をきっちりと優しく丁寧に折り畳んで風呂敷に包み込み、箪笥の奥深くへそっとしまいこむようにして。
甘い記憶をちゃんとしまわずに放り出してしまうと、腐敗して苦しみだけが悪臭を放ちはじめるのような気がする。丁寧に葬られたものだけが、時とともに苦しみが風化され、やがていつか美しい思い出だけが純粋に輝き出すのだと思う。
そんなことをぼんやりと思いながら、季節が変わるのをただ見送っている。

スポンサーサイト



この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://goldenblue67.blog106.fc2.com/tb.php/480-5d38ae32

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

Profile

golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

Calendar

06 | 2020/07 | 08
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

Gallery

Monthly Archives