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♪翼なき野郎ども / 泉谷しげる

80
80のバラッド / 泉谷しげる

泉谷しげるはとらえどころのない男だ。まるで飯場の労働者のような風体、乱暴でズバズバと切りまくるもの言い。投げやりな歌い方。泉谷のパブリック・イメージは、ちょっと怪しげな荒くれた乱暴者、ひょうきんで話のわかるおもろいおっさん、みたいなところだろうけれど。
しかし泉谷の歌を聴くと、そんなイメージは照れ隠しのために作り上げたポーズだということがよくわかる。そのポーズの下に隠した、ナイーヴで心優しい素顔。
泉谷の歌は、心優しいだけではどうしようもならない都市の暮らしで、飲み込まれてしまわないための強さを獲得したい、そんな気持ちが表現の核にあって成り立っている。それを強がったり傷ついたり茶化してみたりヤケになったりしながら歌う。それが“春夏秋冬”の「やっと見つけた優しさはいともたやすくしなびた」であったり“眠れない夜”の「珍しい見世物すぐ飽きて自分だけが珍しくなってゆく」であったり“春の空っ風”の「誰が呼ぶ声に答えるものか 望む気持ちとは裏腹」であったりといったフレーズ。
そんな泉谷が、迷いとやけっぱちのベクトルから抜け出し、しなやかな力強さを表現する方向を向いたのが1978年の「,80のバラッド」。泉谷30歳のとき。まるで『明日なき暴走』の頃のスプリングスティーンのように、都市の夜の底を疾走するスピード感と力強さに溢れている。歌われた歌詞の意味などもはやよくわからないフラッシュするイメージの羅列としなやかなリズムが、心のうちから湧き上がるようなエネルギーをくれる。


火力の雨降る街角
謎の砂嵐にまかれて
足取られやくざイラつく午後の地獄
ふざけた街にこそ家族がいる

こんな街じゃ俺の遊び場なんか
とっくに消えてしまったぜ
なのに風にならない都市よ
何故俺に力をくれる?

あぁイラつくぜ
あぁ感じるぜ
とびっきりの女に会いに行こう
とびっきりの女に会いに行こう

   (翼なき野郎ども / 泉谷しげる )



都市で生き抜くために必要なもの。
多少のことで折れたりしない鋼のようなしなやかさ。
思いつめれば折れてしまうから、思いつめないためのフットワークの軽さ。
その軽さを支える、マグマのように湧き上がるエネルギー。
そのマグマを支えるのは、 今、ここに在ることへの確信。
では、その確信を支えるのものは?





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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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