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♪No Reply / The Beatles

ビートルズ・フォー・セール
Beatles For Sale / The Beatles


1964年に発売された2枚のビートルズのアルバム、[A Hard day's Night]と[Beatles For Sale]の間には、決定的な溝がある。暗い部屋のカーテンをさっと開けるようなジャーン、というGのコードで始まる前作とは対照的に、物憂げなジョンのヴォーカルとアコギのカッティングから始まる“No Reply”でスタートするこのアルバムでは、初期の3枚にあった無邪気さは影を潜めてしまった。
クリスマス商戦に発売させるために短時間で録音したからとか、前作ではすべてオリジナルだったのが6曲ものカバー曲が含めれているとか、いわゆるビートルズの作品群の中では地味な作品だが、要はやっつけ仕事で作らされたアルバムなのだと思う。収録された8曲のオリジナルも、あまりにもジョン色・ポール色が濃すぎて、レノン&マッカートニー名義で発表することを控えていたかのような作品が目立つ。それはそれでその後の彼らの展開を考えれば興味深いものではあるにせよ、アウトテイクやB面曲みたいなもの。本当はミニアルバムとか、ジョンやポールのソロシングルとして発表されるべきものだったのかもしれません。
そして、彼らは、そんな風にやっつけ仕事で作品を発表することがたまらなく嫌で、そのことに対するあてつけのように[Beatles For Sale]=「ビートルズ大売出し!」なんてタイトルをつけた。にもかかわらずこれが売れまくるものだから、彼らはますます嫌気がさして、もう何でもいいやん、とばかり、後に革新的と評価される実験的な作品作りに手を染めて行ったのではないだろうか…などと思ったりする。いや、もちろんこれは史実ではなくあくまで僕の個人的な主観です。このアルバムを否定しているわけではもちろんありません。
ただ、彼らはこの頃改めて、おいしい商売にのっかってメディアに踊らされる「芸能人」になってしまうことを拒否し、「売れるものに迎合する」のではなく「自分たちのやりたいことをやろう」と誓ったのではないだろうかと思うのだ。ビジネスで割り切ってロックンロールなんてできっこないんだから。


(拙訳:No Reply)

前にもこんなことがあった
僕は君の扉の前
なのに返事がない
君はいないとみんなは言うけど
窓の隙間から覗き見てみたら
明かりが灯っていた
明かりが灯っていたんだ
僕が見上げた窓から
君も僕を見ていたんだってわかってる

電話してみたんだ
君はいないとみんなは言うけど
それは嘘
君はきっといる
部屋に入っていくのを見たんだもの
死んでしまいそうだ
死んでしまいそうだ
僕のいた場所で
別の男と君が手をつないでる

もし僕が君だったら
どんな男よりも君を愛してるってことを
もっとよくわかるのかな
君から返事をもらえたら
嘘の事なんてきっと許してしまうのに

電話してみたんだ
君はいないとみんなは言うけど
それは嘘
君はきっといる
部屋に入っていくのを見たんだもの
死んでしまいそうなくらいだ
死んでしまいそうなくらいだ
僕のいた場所で
別の男と君が手をつないでる

返事がない
返事がない



ジョン・レノン作のこの歌。情けなく嫉妬深い男のかっこ悪いじたばたがアコギのカッティングに乗せて淡々と歌われる。
“I nearly died”ってシャウトがかっこいいのだけれど、この程度のことで「死んでしまいそう」なんて大げさだな…と思ってふと気付いた。
実はこの曲“I nearly died”ってサビだけが一番最初にあって、それと韻を踏む“No reply”ってキーワードから後付で失恋の物語を作ったのじゃないか、と。
ジョンが歌いたかったのは“I nearly died”ってシャウトだけだったのかもしれない。


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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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