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♪African Piano / Doller Brand

アフリカン・ピアノ
African Piano / Doller Brand


サッカーの国際試合では国歌斉唱がある。「国歌」については様々な物の見方や考え方があるとは思うしそのことを否定するわけでも肯定するわけでもないのだけれど、あのような場で聴こえる『君が代』はいつも音楽的に異質に感じる。ほとんどの国が西洋音階の、例えばマーチングバンドが演奏しそうな楽曲を採用している中で、民族的伝統の音階を採用しているからだ。

それぞれの民族にはそれぞれの民族的音楽がある。そして西欧的価値観と民族的価値観の折り合いをつけながら新たな文化がそこでは常に生みだされている。そんなことを考えるきっかけになったのは、このアルバム。南アフリカ出身で、後にイスラムに帰依してアブドゥル・イブラヒームと名前を変えた、ダラー・ブランドというピアニストの1973年の作品だ。
初めて聴いた時は、よくわからない退屈なピアノソロがひたすら延々と続くだけで「こりゃ失敗した」と正直思った。もっとアフリカっぽい熱くファンキーな音を期待していたのだ。長い間棚にしまいこんだままになっていたこのレコードの凄さがじわじわとわかってきたのはずいぶん後になってからだ。
この退屈なメロディは、実はメロディーではなくアフリカの太鼓をピアノで再現したもの。そして左手は、ひたすら同じリフを延々と繰り返し、永続する太鼓を使った祝祭の儀式を象徴していると思う。だとすれば、まさに西洋音楽の様式とはまったく出発点の異なる、言葉どおりの“アフリカン・ピアノ”なのだ。

今や西洋的価値観は世界中に進出し、それこそが絶対正義であるような論理を僕らは信じて疑わないけれど、元々世界には色んな価値観があった。西洋的価値観は確かに民主主義・市民社会を世界へ浸透させ人々を解放したけれど、同時にその土地に元々あった土着的民族社会や村落社会・家族社会を破壊してしまった。西洋的な便利さが各々の民族の持っていた風習を風化させ、大量消費型の社会を世界中のすべての人が享受するのはもはや不可能と地球が悲鳴を上げている。
例えばイスラム系のゲリラ組織によるテロ行為や、今回のアフガニスタンでのタリバンによる拉致事件。決して許されることではないしイスラムの教義的にもはずれている非人道的な行為だけれど、そんな行動を起こさざるを得ない背景にある非西洋的価値観をもっともっと知りたいと思う。




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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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