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♪夏のぬけがら / 真島昌利

夏のぬけがら
夏のぬけがら / 真島昌利


日曜日の夕方に娘と散歩していたら、公園のベンチの足元でセミの幼虫がうろうろしているのを見つけた。あれは幼虫?っていうのかな?それとも蛹?茶色い、大きな鎌を持った、あれ。抜け殻ではよく見かけるけれど、動いているのを見るのはいつ以来だろう?
奴はベンチの足を木と思い込んで必死に登ろうとしている。けれど、ベンチの足は鉄製で、奴の大きな鎌もまるで役に立たず。滑っても滑っても必死に登ろうとする姿は滑稽ですらある。8年間土の中で耐えてきてやっとセミになる時期が来たっていうのにこんなところで力尽きてアリの餌食になってたまるか…なんてことは考えないのだろうけれど、奴はただセミになること、そのために木に登ることだけをDNAにインプットされて、ベンチの鉄の足に鎌を振り上げ続けていた。

今朝、セミの声で眼が覚めた。梅雨明けだ。天気予報士なんかより生き物の方がよっぽど季節を知っている。
僕らが木の上に乗せてあげたあいつも孵化して、今頃鳴きまくっていることだろう。


夏が来て僕等

夏が来て僕等 アイスクリーム食べて笑った
木に登り僕等 何回目の夏か数えた
奪われた声に耳を澄まし
自転車で知らない街まで
終わりなき夏の冒険者は
夏に疲れるなんて それはとても罪なこと

夏が来て僕等 高校野球なんて見ないで
夏草に伸びた 給水等の影を見ていた
裸足ならもっとよかったけど
宿題は机で待ってる
誰かがピアノを弾いているよ
みんな誰もが秘密を持つ 汗ばんだ季節だ


夏、セミの抜け殻、虫取り網、青空、入道雲…
学生の頃、無職の頃、夏になると部屋でひざを抱えてぼけっと聴いていた真島昌利の「夏のぬけがら」。
ブルーハーツでの激しくギターをかき鳴らし吼える姿とは違った、ぽつんとした少年~思春期の視線で描かれた夏の情景。アコースティックな音色、淡い色彩。
「夏」という季節に象徴させた、熱く生きることへの願いと、過ぎていくものへのあきらめや、だからこその愛おしさがたくさん詰まったレコードだ。

僕らの日常も、ひょっとしたらあのセミの幼虫並に滑稽で、だからこそきっと愛おしい、そんなものなのかもしれないね。


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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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