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♪Like a Hurricane / Neil Young

Live Rust
Live Rust / Neil Young


七月の台風としては観測上最大級といわれる台風4号が接近してきている。午後からはずいぶん雨風が激しくなってきた。TVでは鹿児島や高知から、レポーターが暴風雨の中で叫んでいる。

台風はけっこう好きだ。
子供の頃はよく台風が来るたびに停電になったもので、ろうそくの火の元に家族が集まって明かりがつくのをドキドキしながら待っている様子は、ちょっとしたイベントみたいなものだった。
当たり前に手に入ると思い込んでいる便利で快適な暮らしは、実は多くの人が多くの力を注いで成り立たせているシステムであって、台風はそんな、回転し続ける便利で快適な日常生活をいとも簡単に一時停止させ、その日を無事に過ごすことだけに専念させる。
自然の大きな力には人間なんてなすすべもないことを、台風は思い出させてくれる。

選んでみたのはニール・ヤングの“Like a Hurricane”。
アルバム『Live Rust』は前半アコースティック、後半ハードなロックで構成され、70年代のニールの歩みを総括するようなライヴ・アルバム。そのハイライトで登場する“Like a Hurricane”は、歌詞自体は恋愛の嵐のような感情を台風に例えたたわいもない歌だけれど、むしろ歌詞以上にニール・ヤングの荒々しいギターが、まるで暴風雨のように激しく轟く名曲。痙攣するように、のけぞるように、情念のギターを弾きまくるニール・ヤング。それは上手いとか拙いとかを越えて、ただここに在ることの潔さ、かっこよさみたいなものを伝えてくれる。


(拙訳:ライク・ア・ハリケーン)

以前に一度君を見かけたのはたしか混雑して煙ったバーだった
星から星へ飛び回るように光の中で踊っていた
かすかな月明かりでも君が誰だかわかった
君のブラウンの瞳に炎がともるのを見た気がした

君はまるで台風のように、瞳の中に静けさがある
僕はまるで吹き飛ばされてしまいそう
ここにいたいと感じながら、どこか安全な場所へと
君を愛しているのに、吹き飛ばされてしまいそうだ

僕はただのドリーマーで、君は夢だった
君が僕の唇に触れるまでに
他にもいろんな可能性があったというのに
あの完璧な一瞬が僕に時間を忘れさせ
僕らを深い霧の中へ連れてゆく

君はまるで台風のように、瞳の中に静けさがある
僕はまるで吹き飛ばされてしまいそう
ここにいたいと感じながら、どこか安全な場所へと
君を愛しているのに、吹き飛ばされてしまいそうだ


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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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