The Wild, the Innocent & the E Street Shuffle / Bruce Springsteen レコードについている解説のほとんどはクズみたいな文章だ。ほとんどは、〆切に追われて義務的に書いた売り文句の羅列だから。
けど、時々、はっとさせられる文章に出会うこともある。例えばこのスプリングスティーンのセカンド、北山耕平氏が1975年に書いた文章の一行。
「僕がブルース・スプリングスティーンを好きなふたつめの理由は、彼が一人でいることを知っているからなんだ。一人でいることを知っていることは、とっても大切なことだ。でも、人を愛さないというんじゃない。ちゃんと愛するんだ。でも、ひとりでいる。そしてすべてを信じているんだ。」
一人でいること。独立した存在であること。いろんなしがらみはあるにせよ最終的には自由でいること。そして、だからこそ何かを愛したり追い求めたりしてしまうこと。
男でも女でも、僕が信頼してつき合えるのは、そんな人たちだ。
このアルバムに込められた若き日の、名も無く貧しく、地をはうような情熱だけがたったひとつの武器だった頃のスプリングスティーン。
アルバムに込められた7つの裏通りから切り取られたたわいもない物語の中でスプリングスティーンは、無邪気に女の子を口説いたり、悪友とつるんで悪さしたり、喧嘩したりしながら、己の心のありかを必死でつかみとろうとしている。
スプリングスティーンも、僕たちも、そんなやんちゃなストラッグリン中から打ちのめされたり舞い上がったり葛藤したり泣きはらしたりしながら、己の心のありかを自分で見つけてきた。
一人でいることの大切さを知っているかどうかって、そういう心のぶつかりあいをしたことがあるかどうかだと思う。
(拙訳:4th Of July, Asbury Park (Sandy) )
サンディ、今夜リトルエデンに花火が打ち上げられて
7月4日の夜、誰もが固まった顔して光を眺めてる
ダウンタウンには飛び出しナイフみたいに輝き尖った恋人たちが
ピンボールの魔術師みたいに大通りを闊歩する
カジノで踊る少年たちはラテンの色男みたいにシャツの胸を開いて
ニューヨークの女の子たちを追い掛け回してる
サンディ、オーロラが昇ってゆくよ
桟橋の灯り 永遠に続くカーニバルのような日々
今夜俺を愛してほしい
二度と今のおまえには会えないような気がするから
ねぇ、サンディ
街のチンピラは踵に鋲を打った奴等に砂浜の上で打ちのめされてしまってる
サンディ、奴等の肌は白すぎる
俺はそんな汚れたアーケードにぶら下がったりゲームマシンをぶちのめしたりボードウォークの下で工場の女の子たちを追っかけまわすような暮らしに疲れてしまったんだ
・・・
サンディ、オーロラが昇ってゆくよ
桟橋の灯り 永遠に続くカーニバルのような日々
今夜俺を愛してほしい
そして永遠におまえを愛していくと約束するよ
ねぇ、サンディ
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