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Punch the Clock / Elvis Costello & The Attractions(拙訳:Everyday I Write the Book)
愛って何なのかよく分からないわ、なんてとぼけないで
もうそんなこと充分に知っているはず
誰かの手が君のセーターの中へ入り込んできたら
君の小舟はどこかへ去ってしまうのかな
僕は2,3の使命を抱いた男
いつも君を憧れのまなざしで眺めている
そして毎日本を書いているのです
第一章 僕たちが出会う前のこと
第二章 どうやら君に恋してしまったと気付く
第三章の真ん中あたりで君は僕のそばにいるっていってくれたのに
第四章、五章、六章と君に振り回されっぱなし
いつも君を憧れのまなざしで眺めている
そして毎日本を書いているのです
君の歩き方、君の話し方
僕にキスしようとする君、そして君の笑い声なんかは
4つか5つの段落にまとめてみた
君の不平や、わがままな振る舞いには
少し疑問符も呈しておくことにしよう
いつも君を憧れのまなざしで眺めている
そして毎日本を書いているのです
恋人たちと戦士は似たようなものだなんて、どうなんだか
僕のペンと電子タイプライターは
この全てが平等な完璧な社会においてすら
占有独占権を勝ち取ろうといまだ躍起になっているのであります
いつも君を憧れのまなざしで眺めている
そして毎日本を書いているのです
先日の藤原紀香・陣内智則の結婚式で「She」っていうバラードが入場テーマとして使われたとかで、エルヴィス・コステロが世間で話題になっているようです。クラプトン同様、いつの間にかダンディなおじさま的に世間に受け入れられているコステロさんですが、僕の彼へのイメージは『スーツ姿でロックするインテリ・ドクター』『見た目美しくその実毒の盛り込まれたポップスを量産する稀代のひねくれ芸術家』って感じ。デビューは1977年、パンクの嵐の吹き荒れる中、バディ・ホリーみたいな黒縁メガネでシャープにロックし、世の中への違和感や社会への異議申し立てのメッセージが詰まったアルバム[My Aim Is True]。その後カントリーやらR&Bやらアイリッシュやらとそのときそのときの興味の赴くままにコロコロとスタイルを変えながら、独特のポップセンスで作品を作り続けている。
この曲は1983年、ホーンセクションを大胆に導入してモータウンやソウルに大接近したアルバム[Punch The Clock]からのシングル。愛する人の一挙一動に右往左往する健気な男の様子をコミカルに描いている。ありきたりな「She」なんかよりよっぽど真に迫ったラブ・ソングだと思うけれど。
この曲のビデオ・クリップに、主人公がボクシンググローヴをはめてタイプライターを打つシーンが何度か出てくる。その表現の巧みさ、そしてそのユーモアとエスプリに思わず苦笑い。
「愛」を言葉で語るのはまさにボクシンググローヴをはめたままタイプライターを打つようなもんだな。「音楽」を語ろうとすることも。
言葉なんかじゃ語れない、けれど言葉を尽くさなくちゃやっぱり伝わらない。そして言葉に一喜一憂し、たったひとつの言葉から不信や裏切りが始まり、たったひとつの言葉を信じたり心の支えにしたり、人間とはかくもやっかいな生き物だと思う。
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