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♪Two Punks / ザ・モッズ

FIGHT OR FLIGHT
FIGHT OR FLIGHT / THE MODS


小学校一年生の時、背の立たないプールで溺れそうになったこと。
逆上がりができなくて母親に付き添ってもらってマメがすりむけるまで練習した日に入ったお風呂で感じた掌のひりひり。
何かにつけ兄と比較する教師が顔を近づけて何やら説教したときの煙草臭さとその青い髭剃り跡のいやらしさ。
そんなこんなの、どうでもいいような一瞬の感情を時々何の脈絡も無くフラッシュバックのように思い出すことがある。

ついさっき、ふと思い出したことがある。
18の時、遠距離の大学へ通いながら、家を出るために繁華街の喫茶店でアルバイトしていた頃のこと。その頃の僕はフラストレーションの塊だった。自分が何者なのかまったく手探りだったし、片道二時間の通学と四時間のアルバイト、帰宅はいつも深夜。実際のところ疲れていた。
喫茶店といっても場末の繁華街や水商売の臭いのするところで、アルバイトでは気の合う友人も作らず心を頑なにして働いていた記憶がある。唯一の楽しみは有線放送。店が登録した№を伝えればリクエストができる。2,30分後にそのリクエスト曲がかかる。かかったらまた次の曲をリクエストする。そうやって時間が過ぎるのを待っていた。できるだけ、激しいロックをリクエストするのが好きだった。歌謡曲やポップスの隙間にハードなギターが鳴り響く。その場の空気がほんの少し歪む4分間ちょっと。
ある日、ある賭けをした。
リクエストしている曲がかかっている間、何もしない。いっさい何も。客に呼ばれても返事しない。
選んだのはザ・モッズの「激しい雨」がのB面に入っているファーストアルバム収録の名曲「TwoPunks」の8分近くあるライヴ・ヴァージョン。
歓声と共に森山達也がアカペラで歌いだす。観衆の合唱が続く。森やんが「みんなのため、TwoPunks!」と叫んでギターがリズムを刻み、歓声が一層激しくなる…。


♪Two Punks
虚ろな街に風が吼え抜ける
俺たちはアスファルトの上 転げ落ち
もう真夜中だ 何をすればいい?
押し合いへしあい地下鉄に潜る
いつもの薄汚れた小屋へ行き
俺たちは歌った 朝まで歌った
一切れのパンを腹に押し込み
ぐったり地下室で横になる
もう朝6時だ 家を探さなくちゃ
俺たちは実際金が無かった
ポケットの中にはキラリとナイフが
さぁ歩こう 街は眩し過ぎる
どうにかしてくれ ハマースミスに電話しよう
男がやってきて切符をくれた
「二ヶ月以内に決めな、ヘイ、ボーイ」そう言いやがる
でもその行く先は俺たちには似合わない

Two Punks 縛られて 
Two Punks 見張られて 
Two Punks 逃げられない

俺の女は目に涙を浮かべてた
「いつまで続けるの?へイ、ダーリン?」そう言いやがる
そんなこと俺にもわかりゃしねえよ
でももう電車には乗り遅れた

俺たちは乗ることができなかった
俺たちは乗ることができなかった
俺たちは乗ることができなかった
俺たちは乗せてもらえはしなかった
Two Punks 縛られて 
Two Punks 見張られて 
Two Punks 逃げられない


果たしてその8分の間、客は一人も入って来なかった。一度だけ客にグラスを要求されたが無視した。先輩の島田紳助似のヤンキー崩れが僕を一瞥して客に水を注いだ。
ただ、それだけのこと。
あの頃、何と戦っていたのだろう?あの時、誰か客が入ってきてトラブルが起きていたら…ほんの少しそれを期待するもう一人の僕。あの時誰かを刺してもおかしくないような、凶暴な獣が僕の中に棲んでいたのだ。



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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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