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♪A Sailboat in the Monnlight / Billie Holiday

Musical Romance
Musical Romance / Billie Holiday


ビリー・ホリデイ、といえばもう名前だけで伝説化されてしまってて、なんかもうとにかく素晴らしい…みたいな感じがあるけれど。
伝説をとっぱらって耳を澄ましてほしい。
このレコードに収められているのは、1936年~37年、ごく初期のまだうら若きビリー・ホリデイ。
若いカップルに望まれずに世に産みだされ、人種差別、貧困、レイプ、売春、投獄、麻薬。そんな暗いイメージとはほど遠い、歌うことが嬉しくて仕方がないような少女の姿がある。
届かぬ恋心を月に託すかのような、せつない想いに小さな心を振るわせる少女のキュートでチャーミングな歌声が聴こえてきます。


(拙訳:A sailboat in the moonlight)

月明かりの下
小船の上にあなたとふたり
まるで天国みたい
わたしたちふたりにとっては
6月の夜のそよ風とあなた
なんて完璧なシチュエーション
夢が叶うのね

甘い気持ちの岸辺から
船出する時が来たわ
星の光に寄り添って
あなたが漕ぎ出してくれる
やさしいあなたのくちびるがわたしに
ずっとこんなのを待ち望んでたのよ
あなたと月明かりの下
漕ぎ出すための小船がほしいの


1937年録音。ts:レスター・ヤング、cl:ベニー・グッドマン、tp:バック・クレイトン、p:テディ・ウィルソン、g:フレディ・グリーン、b:ウォルター・ペイジ、ds:ジョー・ジョーンズといった当時のスイング・ジャズのオールスター的な面々。

この頃、ビリー・ホリデイは22歳。
売り出し中のサックス奏者だったレスター・ヤングと運命的な出会いをしたのはこのテディ・ウィルソン楽団でのセッションでのこと。
以後、互いを「レディ」「プレス」と呼び合い心を通わせ支え合った二人は、レスターの徴兵によって引き裂かれ、それぞれの事情でふたりとも麻薬に溺れる人生を送るはめになっていくのだが。
そんな二人が一番輝いていた時期の輝かしい演奏。
二人の惹かれあう姿は、単なる恋仲以上の、なんでもいろんな想いを共有しあえる同志とでもいうべき存在だったことがこの録音からも伺える。



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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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