1986年発表のプリテンダーズ4枚目。 シャープでワイルドなロックンロールだった3作目のあと、クリッシーは7歳年下のシンプルマインズのジム・カーと結婚し第二子を出産。 最近このアルバムの中の“Don't get me wrong”がCMで使われてたけど、前作とはうってかわって、女性的なふくよかさや優しさをイメージさせる柔らかいソウルマナーなサウンドに変化したのは、そんな充実した私生活の影響だろうか。こだわっていたバンドもメンバーを一新してしまいDsのブレア・カニンガム、B、T.M.スティーブンス、Key.バーニー・ウォーレルなど、スタジオミュージシャンではないけれど、名うての面子を揃えて、今までのロックバンド然とした姿は消えている。どちらかというとクリッシーのソロみたいな感じだけど、今出したい音を出すにはこのメンバーが必要だったのだろう。 もちろん「アンタの魂をいくらで売りさばいたの?」なんて迫る“How much did you get your soul”みたいな硬派なクリッシー節も健在だけど、泣く子も黙る姉御ロッカー・クリッシーのつっぱった側面は影を潜め、“When I Chenge My Life”や“My baby”みたいな、女性として、母親としての女っぽさが強く出た音作りになっている。
Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。 “日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。 自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。
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