僕らのバンドもそれぞれに問題を抱えていた。僕はドラマーと折り合いがうまくいかなかった。泥臭い僕の歌は彼の好みではなかったし、僕は僕で奴の上手さを尊敬しつつ、歌の流れを無視して叩くその強引でわがままなそのリズムさばきに困惑していた。けれど、結局のところ僕たちは、ぶつかりあわないまま譲り合ってしまっていたのだと思う。僕は、自分の技術や自信のなさに逃げ込んで真っ向から勝負しなかった。だから僕たちのバンドはスパークしなかったのだと、今になって思う。 別にそのことを後悔しているわけではない。大事なことはいつも後になってわかるものなのかもしれない、なんて少し感傷にふけってみただけのこと。 そんなことは置いといて、FREEのファンキーな演奏を聴こう。 All Right Now!
Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。 “日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。 自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。
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