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♪All Right Now / Free

Fire and Water
Fire and Water / Free


「ロック・バンド」と聞いて想像するイメージって?
髪が長くてふてぶてしくて、クールでワイルドで、グルーピーはべらかせて、酒と煙草とドラッグやって、メンバー同士仲が悪くて、みたいな。僕の中でそんなイメージに一番近いのがFREEというバンドだ。

無職だった頃、少しだけロックバンドで歌っていた。
大学浪人で田舎から出てきてそのままプー太郎になった、ストーンズからR&Bに傾倒していたギタリスト。もう一人のギタリストはAC/DCのアンガス・ヤングみたいなハードロック小僧で、司法試験浪人中。タイトでジャストで重い音を叩き出すドラマーは一流商社の営業マンで、チョッパーが得意なベーシストは唯一の家庭持ち。片方のギタリストと遊びで弾き語りを演っていた僕が誘われて、そんな4人のセッションバンドに参加したのだった。育ちも音楽の志向もばらばらの5人だったから、その微妙なバランスがうまく混ざり合った時には絶妙の音を出したし、それぞれが勝手な自己主張をはじめたときは、てんでばらばらで何がやりたいのかさっぱりわからないバンドだった。
そして、そんなばらばらのメンバーが全員「かっこいい」と一致したのがFREEだった。

1970年、20歳そこそこの悪ガキが、当時一番ワルっぽくて粋な音楽だったブルース・ロックを、めいっぱいかっこつけて演ってる。ポール・ロジャースのソウルフルなヴォーカル。ポール・コソフの地味渋、時々クレイジーなギター。アンディ・フレイザーの腰からうねるようなファンキーなベース。サイモン・カークのタイトなドラム。みんながみんな「自分が一番最高!」と思って演奏している様がありありと浮かんでくる、自己主張の激しい演奏。エゴとエゴのぶつかりあい。
勝手な想像ではあるけれど、おそらくメンバー同士の仲は悪かったに違いない。喧嘩ばっかりしてたんじゃないだろうか。お互いがお互いのセンスを認め合いつつ、それでも自分が一番と譲らずにエゴをぶつけあう。全員が譲らずに勝負を挑むからこそ、そのとき何かがスパークする。その奇跡的なバランスの中で生み出された、クールでワイルドでエモーショナルで頑強な、最高にかっこいい音楽。

僕らのバンドもそれぞれに問題を抱えていた。僕はドラマーと折り合いがうまくいかなかった。泥臭い僕の歌は彼の好みではなかったし、僕は僕で奴の上手さを尊敬しつつ、歌の流れを無視して叩くその強引でわがままなそのリズムさばきに困惑していた。けれど、結局のところ僕たちは、ぶつかりあわないまま譲り合ってしまっていたのだと思う。僕は、自分の技術や自信のなさに逃げ込んで真っ向から勝負しなかった。だから僕たちのバンドはスパークしなかったのだと、今になって思う。
別にそのことを後悔しているわけではない。大事なことはいつも後になってわかるものなのかもしれない、なんて少し感傷にふけってみただけのこと。
そんなことは置いといて、FREEのファンキーな演奏を聴こう。
All Right Now!



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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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