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♪実りの秋 土のにおいと藁の香り

「秋」という季節の言葉の語源は
・空の色が晴れ渡って「明らか」の「あき」
・穀物などの収穫が「飽き満ちる」の「あき」
・木々が紅葉し「赤く色づく」の「あか」から転じた「あき」
などの説があるそうだ。

空は晴れ渡り、湿気も低く、気持ちのよい風が吹く季節。
作物や果物が実る充実した季節。
時折の嵐。
そして不毛の冬への準備を始める季節。

冷蔵庫もスーパーマーケットもない時代、そして多くの人々が自分の食べ物を自分で作ったり収獲したりしていた時代(もちろん世界中の多くの人々は今もそうやって暮らしていて、労働と対価の貨幣で食べ物を買って暮らしている人間の方が圧倒的に少ないのだが…)には、作物のとれない冬という季節を乗り越えることは大きな課題だった。人は、秋に収穫した作物を、干したり焼いたり塩漬けにしたり粉にしたりと、知恵と工夫をこらして貯蔵した。ドライフルーツや魚の干物、ソーセージにベーコン、梅干、キムチ、納豆、餅、麺、ビスケット…それらの食べ物には、人が生き延びるためにこらしてきた叡智や、幸福な暮らしのための祈りや願いや日々を生きることへの感謝が込められているように思う…といえば大袈裟だろうか。
言うまでもなく食べることは生きることの基本。黙々と畑を耕し、土を手入れし、苗を育て、日々水を与え、雑草や虫を取り除き、病気の流行におろおろし、嵐をしのぎ…そうやって実った作物を収穫することは、そのまま生きることと直結していた。今や多くの食べ物は工場で作られてお店に並び、僕らはそのことをもはや当たり前として育ってきたし、今さら自給自足の暮らしをするような覚悟はとてもないけれど、せめて自分が口にするものがどうのような土地でどんな人によってどうやって作られ、どうやって運ばれてどうやって加工されたのか…くらいは知っておくべきだと思う。

それはともかくとしても、秋。
40代は秋真っ盛り。
一生を一年に置き換えた時、平均寿命近くまで生きるとしたら、一ヶ月はだいたい七年間になるわけで、春うららかな4月に生まれた赤ん坊は5月に小学生になり6月に思春期を迎えることになる。7月は青春ど真ん中、8月に28歳、9月で35歳…。
41歳の僕の一年は、もうすぐ10月になろうとしている。
豊かとはいえないまでもそれなりに実った作物や果実を収穫しつつ、干したり焼いたり塩漬けにしたり粉にしたりして、来るべき冬に備える、そんな秋の日々なのだ。

今回選んでみたのは、秋の収穫のように実り豊かで、ちょっとブルージィな5枚。
延々と続く小麦畑とトラクター、土のにおいや藁の香り、よく焼けた肌とたくましい腕、麦藁帽子とブルージーンズ、したたり落ちる汗と、満たされない思いを癒すための酒。
過ぎた日々への後悔や遠い土地への憧れもありつつ、変わらない毎日の中にある小さな充足感に踏みとどまろうとする、そんな人生の秋を感じさせる音楽。
特別力こぶが入ったわけじゃない、自然に日々の営みから湧き上がってくるようなポジティヴなエネルギーみたいなものを与えてくれる。

      
Southern Accents    Big Daddy    センターフィールド

Vacancy    ファミリー・スタイル(紙ジャケット仕様)  

Southern Accents/Tom Petty & the Heartbreakers
よく晴れた秋の日のような爽快なロックンロールと、ひんやりとした秋の夜風のようなバラッド。
粋がってつっぱった態度とは裏腹にほろりとこぼれ落ちるような優しさやさみしさにグッと来てしまう。

Big Daddy/John Cougar Mellencamp
手に入れたロック・スターの座を蹴って生まれ育ったインディアナ州に戻り、土臭いロックンロールをしゃがれた声で歌うジョン・メレンキャンプ。自分に正直にしか生きられない頑固でぶっきらぼうな、だけど愛すべきチンピラ・ロッカーの、パーソナルな歌たち。

Centerfield/John Fogerty
“人生はまるでロデオみたいに、ふりまわされたり投げ飛ばされたりしそうになりながらなんとかくらいついているうちに、終わりのベルが鳴ってしまうんだ”
枯れた味わいの中に溢れる、俺は俺にできることをやるだけさ、といった気概とこだわりがかっこいい。

VACANCY / 柳ジョージ
83年の柳ジョージのファースト・ソロ・アルバム、確かバックはJ-WALKの面々だった。
16のときリアルタイムで買ったLPがまだ実家にある。あの頃に憧れた渋い大人とはほど遠いのだけれど。

Family Style/Vaughan Brothers
故スティーヴィー・レイ・ヴォーンが兄ジミー・ヴォーンと組んだヴォーン・ブラザースの、結果的にたった一枚残されたアルバム。
リラックスしたムードの艶のあるソウル&ブルースは、ほっこりした秋の陽射しのようにのどかで、秋の草花みたいにタフな生命力を感じる。



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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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