fc2ブログ

Entries

♪Martha

クロージング・タイム(紙ジャケット仕様)
Closing Time

Tom Waits

トム・ウェイツ1972年のデビュー・アルバム。
アルバム・ジャケットの表現する世界どおり、裏通りの酔いどれ詩人が綴るせつなくけだるくやるせなくちょっと滑稽な物語の数々。
どの曲もまるで映画のワンシーンのように映像がまざまざと浮かび、歌の中ではすべて語られる事の無いドラマに思いめぐらせてしまう。
切り取られたフレーズの中に浮かび上がる人生の機微。
そんな名曲だらけの中でも一番好きなのは、40年たって昔の恋人に電話をかける“Martha”。
こんな歌です。



(拙訳:マーサ)

「オペレーターさん 番号を言うよ」
・・・あぁずいぶん長いこと経ってしまった。
俺が涙をこらえているうちに、彼女は俺の声を思い出してくれるだろうか・・・
「やぁ、マーサかい?トム・フロストだよ。あぁ、長距離電話だ。気にしなくていい。もう40年も経ってしまった・・・。掛けなおしてくれるかい?外でコーヒーでも飲んでいろいろ話さないか。」

あれはバラのような 詩のような 散文のような日々だった
マーサ、俺のすべてはきみのもので、きみのすべては俺のものだった
明日さえ見えない暮らしの中、俺たちは悲しみを溜め込んで雨の日のために取っておいたものだった

「あぁ、歳をとったよ。きみもね。旦那さんはどうだい?子供たちも。俺も結婚したさ。安心させてくれるいい人に出会えてよかったな。俺たちは若すぎた。そしてあまりに愚かだった。・・・あぁ、もちろん、今はもう大人だ。」

あれはバラのような 詩のような 散文のような日々だった
マーサ、俺のすべてはきみのもので、きみのすべては俺のものだった
明日さえ見えない暮らしの中、俺たちは悲しみを溜め込んで雨の日のために取っておいたものだった

「俺は気分次第でいつもキレまくっていたし、うん、まぁ、今でもそうだがね・・・。けどあの時本当に問題だったのは、俺が男だったって事かもな。俺たちが一緒になることは何の意味もなかっただろう。けど、マーサ、愛してるんだ。わからないのかい?」

あれはバラのような 詩のような 散文のような日々だった
マーサ、俺のすべてはきみのもので、きみのすべては俺のものだった
明日さえ見えない暮らしの中、俺たちは悲しみを溜め込んで雨の日のために取っておいたものだった

・・・おまえにしがみついて泣いていた
あの静かな夜を思い出しているよ・・・



40年。気の遠くなるような歳月。
そんなものは実はあっという間に過ぎてしまうものなのかもしれない。
何がどうなったところで、あなたと交した時間は確かにそこにあって、いつまでもそこで輝き続けているのだから。




スポンサーサイト



この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://goldenblue67.blog106.fc2.com/tb.php/348-0bbfbf5c

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

Profile

golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

Calendar

11 | 2021/12 | 01
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

Gallery

Monthly Archives