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♪前夜(桃花鳥-ニッポニア・ニッポン-)

夢の轍 プライス・ダウン・リイシュー盤
夢の轍

さだまさし

「鴇が七羽に減ってしまった」と
新聞の片隅に映りの良くない写真を添えた記事がある
ニッポニア・ニッポンという名の美しい鳥が
多分僕らの生きているうちにこの世から姿を消してゆく
わかってる そんなことは
多分小さな出来事
それより僕にはむしろ明日の僕たちの献立のことが気がかり
I'm alright,I'm alright
それに僕は君を愛してる
それさえ間違わなければ

「今、若者はみんなAMERICA それも西海岸に憧れている」
と、雑誌のグラビアが嗤う
そういえば友達はみんなアメリカ人になってゆく
「いつかこの国はなくなるんじゃないか」と問えば
君は笑う
「馬鹿だね、そんなふうに自然に変わってゆく姿こそ
それこそこの国なのよ
さもなきゃ初めから〈日本〉なんてなかったのよ。」
I'm alright,I'm alright
そうだね 嫌なことすべて切り捨てて
こんなに便利な世の中になったし

「どこかの国で戦が起きた」とTVのニュースが言う
子供が実写フィルムを見て歓声を上げてる
皆他人事みたいな顔で人が死ぬ場面を見ている
怖いねと振り返れば番組はもう笑いに変わってた
わかってる そんなことは
多分小さな出来事
それより僕らはむしろこの狭い部屋の平和で手一杯だもの
I'm alright,I'm alright
そうだね
それだけで充分に
僕らは忙しすぎる

「鴇が七羽に減ってしまった」と新聞の片隅に…

  (前夜(桃花鳥-ニッポニア・ニッポン-))



建国記念日の前夜に。
僕らが育った1980年代の日本の風景。
僕らは、こんなボンヤリとした絶望感の中で多感な時期を過ごしてきた。地球の、そして日本の未来に明るい展望など持ち合わせていない。

観測史上記録的な暖冬、いわゆる地球温暖化。今話題の少子化問題。この二つの問題は明らかにリンクしている。お役所は、女性の社会進出が少子化の原因だと思っているようだけどそれは違う。生き物は本能的に子孫を増やしたがる。それが本能どおりにならないのは、未来に展望が見えないからに他ならない。この国で子供を生み育てることが子供のために、そして自分自身のために幸せな環境だとはとても思えないから。今の小さな幸せだけでもう精一杯だもの。
少子化問題を何とかしたいのなら、政治家が今一番しないといけないことは、この国の将来像をしっかり提示すること。どんな国を目指していくのか?未来永劫発展し続ける経済大国を本当に今の日本人は望んでいるのだろうか?小さな幸せをつつましく維持できる国で十分じゃないのだろうか?安心して子供を生み育てることが出来る社会、その展望さえ見えれば子供は生まれる。そのためには温暖化阻止、つまり持続な発展が可能な循環型社会が必要だ。いわゆるスロウ・ライフってやつ。
だってもう僕たちは、未来の子供たちの資産まで食い潰してしまったのだから。

日本産の鴇は、2003年10月10日朝、最後の一羽の死亡が確認され、絶滅した。そのニュースはその日、大きな話題にすらならなかった。




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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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