ボブ・マーリィの信念の強さや、ジミー・クリフの飄々とした軽さにもあこがれるが、一番シンパシィを感じるのはピーター・トッシュ。 かつて兄弟のようだったボブ・マーリィがよりマイルドに、ワールドワイドな方向へ進む中で見解の相違からボブと袂を分かち、生まれ育ったジャマイカに居座って、尖ったハードでシャープなメッセージに愚直なまでに頑固にこだわり続けたレゲエ原理主義者。約束された安住よりも、岩の上に座り続けることを選んだ男。神になるよりも大地に立ち尽くすことを選んだ男。「俺は俺だ!なぜなら俺だから!」みたいな頑固な屁理屈のI Am That I Am や、「俺はカミソリ、あんたの喉を掻っ切ってやるぜ」と歌うStepping Razor など、ハードコアなメッセージの応酬のアルバム『平等の権利』の1曲目が、ウェイラーズでもプレイしていた Get up, Stand Up 。ボブのと聞き比べれば、ピーターのメッセージがどれだけハードで辛辣かお分かりいただけると思う。 1985年、志半ばで凶弾に倒れる、が、ピーターはそんなこと少しもビビってなかったに違いない。いつか殺られることも覚悟の上だったのではないかと思わされてしまうのだ。
Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。 “日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。 自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。
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