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♪Rollin' Stone

ベスト・オブ・マディ・ウォーターズ +8
The Best of Muddy Waters
Muddy Waters


(拙訳:Rollin' Stone)

なまずだったらいいのにな
青い海の底 深く深く 泳ぐ
おまえはいい女
口説き落としたい
俺を釣り上げてくれ
確かにさ、そう、確かに

彼女の家に行ったんだ
階段に座ってさ
「おいで、マディ。主人は今出て行ったわ」
確かにさ、そう、確かに

俺の母親は父親にこう言った
俺が生まれる前のことさ
「男の子が生まれるわ。
けど、この子は流れ者になるわよ、きっと」
確かにさ、そう、確かに

俺は転がる石ころ

寝転がってるとさ 確かに感じる
俺の人生そんなに長くない
初めて煙草吸った時みたいなあの感覚を捕まえにいくぜ
だから
俺を道路に戻してくれ
俺は行くからよ
俺を道路に戻してくれ
俺は行くからよ
確かにさ、そう、確かに



マディ・ウォーターズのブルースは重い。聴いているうちにじっとり脂汗が滲んでくるようなずっしりとした重さ。まるで鉛の球体の中に閉じ込められているような感覚に襲われる。球体の内側をたたいてもびくともしない。壁伝いに手探りしても出口が見つからない。
ロックンロールは「飛び出していく」或いは「ぶち壊す」ための音楽だ。「此処ではない何処か」を求めて飛び出していくため、閉じ込められた球体をぶち壊すためのエネルギーをたっぷり持った音楽。10代の頃からそんな力にずいぶん救われてきた。
けど、「此処ではない何処か」って一体何処?閉じ込められた球体の出口は何処?それは本当に見つかるのだろうか?たどりつくよりも早くエネルギーが尽き果ててしまった人たちの姿もたくさん見てきた。
ブルースは飛び出さない。出口を探さない。ただ、そこに在り続ける。ただそこに在り続けることを肯定する。飛び出してすぐ果てるよりも遥かに持続的で膨大なエネルギーがそこにある。
そうやって、ただ在り続けることを肯定して生きていくことの潔さを知った時、20代も後半にさしかかっていた。初めて「ちゃんと大人になろう」と思った。



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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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