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♪Dance with My Father

Dance With My Father
Dance With My Father

Luther Vandross

父はもうすぐ70になる。父親に優しくされた記憶はない。むしろ反発して喧嘩した記憶ばかり。18の時に家を出てもうずいぶんになる。そしていつのまにか僕も父親になった。
気がつくと鏡の中に、あの頃の父親と同じ姿の自分が居て、仕事にしろ家庭にしろなにかにつけて父と同じ振る舞いをしている自分を発見したりする。妻は、しょーもない小さなしぐさが親子兄弟みんな同じだと笑う。同じ血が流れていることを、どう表現したらいいのだろうか。
父はまだ健在だが、少し病気がちで、歯も抜けた。心なしか少し小さくなったように感じる。父にこんな思いを言葉で伝えることはきっとないだろう、けれど父も祖父に対して同じように感じながら年老いていったことを知っているし、僕が同じように感じていることはきっと知っている。父親とはそういうものなのだろう。



少年の頃の記憶をたどる
まだ無垢さを失っていなかった頃のこと
父は僕を高く抱き上げて
僕が眠るまで母と一緒に踊った
それから二階へ僕を運び上げた
僕は愛されていた
確かに知っていた

もしチャンスがあるのならば
もう一度踊りたい
終わらない歌を演奏し続けて
どれくらい好きだったのか伝えたい
父と踊ることが

僕が母親と喧嘩した時には
いつか僕が旅立っていくことを諭してくれた父
僕を慰めるように笑わせてくれ
最後には母親の意見に従うことにした
僕が眠った後
シーツの下に幾許かのお金を置いてくれた父
父が去っていく日が来るなんて
夢にも思いはしなかった

最後の謁見を許されるならば
最後にもう一度踊りたい
終わらない歌を演奏し続けて
どれくらい好きだったのか伝えたい
父と踊ることが

時々聞こえてくる
母の泣く声
僕は僕のため以上に母のために祈る
僕は僕のため以上に母のために祈る
祈り過ぎかも知れないけれど
母が愛したたった一人の男を返してくださるのならば
どんなことだってできる
あぁ神様
彼女は父ともう一度踊りたがっています
僕は眠るとき
いつもこんな夢を見るのです

(Dance with My Father)




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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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