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♪Fairytale of New York

If I Should Fall From Grace With God
If I Should Fall From Grace With God / Pogues


(拙訳:Fairytale of New York)

クリスマス・イヴだった
酔っぱらいのたまり場で老いぼれジジイが「これが最後かも」ってぼやきながら『稀なる古き山の露』を歌いだした
俺はそれに背を向けて眠った 
おまえの夢を見た

(回想)
「ラッキーだな、18倍だぜ!なんてこった!今年はいい年になるってもんさ、ガハハハハ、クリスマスおめでとう!!愛してるよ、俺たちの夢が叶うのももうすぐさ。」

「酒場みたいに大きな車があって、川には黄金があふれていた。けど風は冷たかったから、年寄りには厳しい場所ね。あなたが初めて私の手を握ったクリスマスイブ、あなた約束してくれたわ。ブロードウェイが私を待ってる、って。あなたかっこよかったわ。」
「おまえも素敵だったさ。まるでニューヨークの女王みたいに。
バンドが演奏を終えても、聴衆はずっと叫び続けていた。
シナトラのスィングにあわせて、酔っぱらいたちはみんなで歌った。
街角でキスをして、夜通し踊ったね。
ニューヨーク警察の合唱隊が『ゴールウェイ・ベイ』を歌い、教会の鐘が鳴り響いていた。俺たちのクリスマス。」

(現在)
「この飲んだくれ、クズ男!」
「おまえこそ、だらしないヤク中女!ベッドで点滴でも打ってやがれ!」
「なによ、このチンカス野郎!うじむし男、できそこないのホモ野郎!なにがハッピー・クリスマスさ!もう金輪際にしてほしいわ!」

  ニューヨーク警察の合唱隊が『ゴールウェイ・ベイ』を歌い
  教会の鐘が鳴り響いていた 
  俺たちのクリスマス

「俺にだって、ひとかどの人間になっていっぱしのことやりとげる可能性はあったんだ。」
「そんなこと誰だって言えるわよ。あんたは最初にあんたに預けたあたしの夢まで持っていってしまったのよ!」
「それは、まだ今もとってあるさ、俺のと一緒くたにさぁ。1人じゃ何にも出来やしない。おまえがいてくれてこその俺の夢じゃないか…。」
 
  ニューヨーク警察の合唱隊が『ゴールウェイ・ベイ』を歌い
  教会の鐘が鳴り響いていた 
  俺たちのクリスマス




ザ・ポーグス。その音楽性は一言で言えば「アイリッシュ・トラッド・パンク」。U2やビッグカントリー、ウォーターボーイズ、ジ・アラームなんて80年代中期にイギリスの辺境から多くのバンドがデビューしたけども、中でもポーグスは群を抜いてその辺境性を強烈に持ったバンドだった。

1800年代中期、アイルランドはじゃがいもの病気による飢饉に見舞われその当時の人口の1/4が故郷を捨てて自由の地アメリカに渡ったという。しかしアメリカでは非アングロサクソン・非プロテスタントで素朴な田舎者のアイルランド人は、蔑まれ差別され、貧しく過酷な労働を強いられたらしい。
ポーグスが歌うのは、そんな貧しい故国を捨てて(あるいは故国にさえ捨てられて)新世界へ渡らざるを得なかった、そして新しい土地でのわずかな夢さえも破れさらに落ちぶれていく貧しい民衆たちの記憶を呼び覚ます歌たち。夢も希望も無くなって絶望さえできなくなった果ての自暴自棄の中で繰り広げられる喧嘩、ギャンブル、男と女、ばか騒ぎ。そして、そんな中でマッチの灯のようにウイスキーの瓶とともにひっそりと抱いた夢のかけら…。
本当のところは、日本人にはどう転んでも理解できないのかもしれない。虐げられた歴史を持つ人や国の文化の奥の深さをポーグスには感じるのです。

さて、世間はクリスマス。街にはクリスマス・ソングが溢れ出す。大甘のラブソングもあれば、切なくほろ苦いのもある。そして中でも一等ほろ苦いのがこの歌。夢と希望を持ってニューヨークへやってきた若きカップルの青春と挫折のその後。
最後の男のセリフ、それに続くサビ、泣けるなぁ…。
構成からアレンジから、もちろん根っからの酔いどれシェーン・マクガワン(この人その後本当にアル中で歌えなくなってそれでバンドは空中分解…)とカースティー・マッコール(惜しくも2000年に事故死)の表現力も素晴らしい。
名曲中の名曲です。



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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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