Never Mind the Bollocks Here's the Sex Pistols Sex Pistols
このレコードを初めて聴いた日のことは今もはっきり覚えている。
17歳の冬。ロックンロールの名で呼ばれる表現の偉大さに目覚めた高校生の僕は、クラッシュ、ツェッペリン、ディープパープル、ジミヘン、ストーンズ、ジャニス、ドアーズ、CCR、ザ・バンド・・・ロック史に残る偉大なバンド、伝説の名盤を片っ端から聴きまくり、そのたびに新しい世界が目の前に開けていくことにワクワクしていた。数多くのバンドを聴き漁り、そして最後に残った超大物がピストルズだった。
時は1984年、ロックといえば(今では嘲笑の対象でしかないが)ハードロック/ヘヴィ・メタルが大全盛で、パンクなんてクソミソな扱いをされていた時代だったし、周りの友人の誰もピストルズなんて聴いてなかった、そんな時代だった。そんな時代に違和を感じたからこそピストルズを欲したのだろうけど、なんだかとてもかっこ悪かった。レンタルレコード屋の中で何度もジャケットを手にとっては戻し手にとっては戻し、意を決してなんとかカウンターへ持っていったときは本当に恥ずかしかった。真冬の風に吹かれて自転車のカゴにピストルズのっけて、誰にも会わないように急いでペダルを漕いだ。誰かに話し掛けられたら刺し殺してしまいそうだった。そしてヘッドフォンで大音量で、ピストルズの爆音を浴びた。こんなん聴いてたら不良になると思ってゾクゾクした。今思えば、張り裂けそうな将来への不安や、自分への自信のなさをぶっ飛ばしていたのだろう。まさにあの頃、ピストルズは僕の「クスリ」だった。
あれから何度も、本当に心が張り裂けそうになったときにはピストルズを聴いた。まるで世界中にマシンガンをぶっ放すような気持ちで、浴びるように聴いた。
大人になればなるほど分別がついてきて、悪いことの裏側のそうならざるを得ない事情や状況が見えてきて「敵」を断罪できなくなる。フラストレーションを単純に爆発させたところでその先にはもっと大きなフラストレーションを抱え込むことが既にわかっているから何も出来ないままますますフラストレーションは沈殿していく。そんなあいまいな世界で、ピストルズだけはいつも、具体的な「敵」が何なのかをくっきりと浮かび上がらせてくれたのだ。
(拙訳:Pretty Vacant)
訊きたい事などなーんもあらへん
どうせあんたにゃ答えられへん
覚えといてや
俺らはずぼら
いろいろあるから
説明ショウリャク!
そんな奴等があちこちにうようよ
とりあえず昼メシ食いに行こ
俺らはお茶目な空っぽ野郎
俺らはお茶目な空っぽ野郎
俺らに注意はせんといて
俺らはただの通りすがり
気にするそぶりもやめてくれへん?
どうせ俺らにゃ関係あらへん
真実ばっかりあふれてるから
幻想ですら信じられへん
やめてや、その安いコメントは
わかってる、っちゅーとんねん!
自分が何を感じてるかってくらいはよ
俺らはお茶目な空っぽ野郎
俺らはお茶目な空っぽ野郎
俺らは空っぽ
俺らにゃ何にも関係あらへんねん!
やんけ、ワレ!
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