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♪Born to Run

Born to Run
Born to Run

Bruce Springsteen


(拙訳:ボーン・トゥ・ラン)

昼間は街路で逃げていくアメリカン・ドリームを追いかけ
夜になると「自殺マシーン」にまたがって栄光の館を脇をすり抜ける
ガソリン満タン、クロームホイールでハイウェイ№9をぶっ飛ばす
この街は俺たちの背骨まではぎとってしまうんだ
それは死の罠 自滅への道
俺たちみたいなはみ出し者は、若いうちにこんな街出て行かなくちゃ
なぜって俺たち、逃げるために生まれてきたみたいなもんだから

ウェンディ、入れさせてくれ、君の友達になりたい
君の夢を守ってあげたい
ヴェルヴェットのリムに足を巻きつけて
俺のエンジンにその手を縛りつけて
一緒にこの罠をぶち壊そう
ひっくり返りるまで走る続けるんだ
もう二度と戻ることは無い
俺は怖がりで孤独なただのバイク乗りだけど
一緒にこのワイヤーの上を歩いてくれるかい?
どんな気分だい? 
俺は見つけたよ
この愛が本物なら教えてほしい
この愛は十分にワイルドかい?

並木道では「動く宮殿」が金切り声をあげ
少女はバックミラーで髪を梳き
少年たちは自分がちょっとでもワルに見えるようかっこつけている
遊園地はずでーんとのさばって
子供たちは霧のビーチで群れを成す
俺はウェンディと、永遠に続くキッスをしながら
この路上で死んでしまいたい

ハイウェイは夢破れたヒーローたちの
最後のチャンスのパワードライブで大混雑
みんなどっかへ逃げ込んでる
だけどこにも逃げ場所なんてない
いっしょにさ、ウェンデイ、悲しみを抱いて生きていこう
魂の全てで君を愛していくから
いつの日か、いつかなんて俺にもわからないけど
あの場所へたどり着こう
俺たちが本当に行きたかった あの太陽のあたる場所へ
けど、それまでは
俺たちみたいなはみ出し者は
逃げるために生まれてきたみたいなもんだから



スプリングスティーンを初めて聴いたのは、高校生の夏だった。
マシンガンのように言葉を畳み掛けるその歌に、憂いを含みかつ情熱的で心の中の何かを呼び起こすようなその声に、軋むギターに、うねるリズムに、サックスの咆哮に、ただただ圧倒された。スプリングスティーンの歌は、それまでに聴いたどんな音楽とも違っていた。僕は一瞬で虜になった。
いわゆる"The Prisoner of Rock'n'Roll"ってことさ。

さて、この[Born to Run] 邦題「明日なき暴走」。
初めて聴いた時からハイウェイをかっ飛ばす、いかれたライダーのゴキゲンなヒーロー賛歌的な歌だとずっと思ってた。「俺たちゃ走るために生まれてきたんだぜ」なんてね。なんてカッコイイフレーズなんだ!って。
ところが、もう少し大人になって、歌詞をじっくり読んでみてどっきり。単純なバイク賛歌なんかじゃなかった。むしろラブ・ソングってゆーかプロポーズ・ソング。こんな俺だけどついて来いよ、って口説いてるわけで。歌の主人公も口説かれてるウェンディも、これからずっと続いていく退屈な毎日にうんざりしている労働者階級で、たった一つの一発逆転を夢に見て、育ってきた田舎町を飛び出そうとしてる。
[Run]って言葉を辞書で引くと、走る以外に運営する・操作するといった意味や、逃避する・流出するといった意味もある。この[Born to Run]は、むしろ「逃げるために生まれてきたんだ」とか「生まれながらの逃亡人生さ」なんて訳すべきなんかな、と。カッコイイフレーズどころか、ギリギリに追いつめられての開き直りというか自虐的な気持ちを含んだ言葉なんだったんだなぁ、と。

今となっては、そうやって街を飛び出していった彼等の暮らしがその後どんな風になっていたの察しは概ねつく。彼等が(そして僕らが)一発逆転のアメリカン・ドリームを手にすることなんてほんの0.01%だってないのだから。
でも、まぁいい。あの頃の僕が…まだ自分が何者かもまったく知らず何も始めていなかったただの高校生だったあの頃の僕が、何よりも惹かれたのは、「今まさに何かを始めようとする意思」だったのだ。どこへたどり着くのかなんてどうでもよかった。ただ「走り始める」ということに意味があったんだ。




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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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