ジョンが殺される前に録音していた次のアルバムのためのデッドストックを集めたアルバム『Milk & Honey』のオープニング曲。この曲を聴くと、5年もの「主夫生活」も実はそろそろ飽きはじめてたんだろうか?なんて考えさせられるのです。 曲はジョンの原点ともいえるシンプルなロックンロール。 ジョンには、てんぱったときや次の転機の前には、ロックンロールに回帰する傾向があった。ビートルズに疲れたときのチャック・ベリーの“You can't catch me”を下敷きにした“Come Together”。所謂「失われた週末」の時期には“Nobody loves you when you down and out”なんていうよくあるブルースフレーズをモチーフにした痛々しいまでの名曲や、アルバム『ROCK AND ROLL』。 “Woke up this morning blues around my head”というフレーズで始まるこの曲をはじめ、このアルバムの3曲のロックンロールにそんなことを思ってしまうのは考えすぎか。
1980年12月8日。あの日殺されなければ、ジョンはその後どんなことしたんだろう? ラヴ・アンド・ピースに飽き飽きしていたことはこのアルバムの“I don't wanna face it”にある“Say you're looking for some peace and love Leader of a big old band You wanna save humanity But it's people that you just can't stand ”なんてフレーズからもよくわかる。ビートルズの再結成もきっとなかっただろう。 ひょっとしたらもう家庭ごっこにも飽き飽きして、ヨーコともその後あっさり別れてて、知的財産権なんかで裁判沙汰になったりして、ショーンよりも年下の若い女と再婚したりしてたりなんかしてたりして。 I'm stepppin' outを聴くとついそんなこと思ったりしてニヤッとしてしまうのです。 そして、そのことに立ち会うことが出来なくなってしまったことを本当に残念に思う。
Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。 “日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。 自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。
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