Heart Beat 佐野元春
佐野元春、1981年のセカンドアルバム『HEARTBEAT』。
軽快でコンパクトなR&Rの「ガラスのジェネレーション」や「ナイトライフ」、スロウバラッドの「バルセロナの夜」「彼女」、ファンキーで言葉遊びも楽しい「イッツ・オールライト」、疾走感のある「悲しきRadio」、フォークロックっぽい「君を探している」、ソウルフルな「グッド・ヴァイブレーション」、ポエトリィリーディングの要素も含んだ街の子供達の物語を綴る「ハートビート」・・・佐野さんのエッセンスが凝縮されたセカンドアルバム。ポップな音の向こうに、スプリングスティーンやルー・リード、エルトン・ジョンやビリー・ジョエル、レノン&マッカートニー、スティーヴィー・ワンダー、ボブ・ディラン、バディ・ホリーやリトル・リチャード・・・たちの姿がリスペクトを込めて見え隠れしている。佐野さん本人は出来栄えにはかなり不満足だったそうだが、今までのいわゆるニューミュージックとは明らかに次元の違うサウンドや「つまらない大人にはなりたくない」といったメッセージや、そこに描かれる都会のイノセントな少年少女たちのいる情景は本当に衝撃的だった。
佐野元春が日本のロックに於いてエポックメイキングだったのは、なんといってもこのシャープなビート感、イメージがフラッシュする言葉のリズム感や描き出す都会の風景の斬新さ。あまりに新鮮だったためあっという間にフォロワーが増えた。しかし、一番重要だったのは『バイク乗りまわしたりタバコ吸ったり学校の窓ガラス割るような不良でなくてもロックンロールできること。不良からは程遠い、しかし少なからず今の生活に違和感を感じていた不良になれないイノセントな少年たちにとって、ロックンロールのスピリットや“精神の不良たち”の系譜を解りやすく教えてくれたこと』だったと思う。
佐野さんを水先案内人として、僕はロックンロールの精神の系譜を訪ねる広い大海原への旅に出たのだった。
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