世間はゴールデン・ウィーク。 昼間、テレビのチャンネルをいじっていたら、連休を返上して開催されているという国会の中継が放映されていた。 自分のことは棚に上げて些細な事象を激しい言葉で追求する野党の質疑、木で鼻をくくったような、気持ちも情熱もまるで何にも感じない与党の答弁。閉じた世界の中でしか通用しないやり取りに終始しているこの人たちに、今、世の中がこれからどっちへいこうとしているかの舵取りを任せられているという気概は到底感じられない。 のどかなもんだ、と思いながら、「ザ・タイマーズ」 を聴いた。 今、清志郎が生きていたら、どんなことを歌うんだろう? 明日、5月2日は忌野清志郎さんのご命日。 これにちなんで「忌野清志郎の10曲」を選んでみようと数日前から考えていた。 ところが、いざ選ぼうとして、その長いキャリアの中でいろんな表現方法でいろんなことを歌ってきた清志郎の幅の広さ、奥の深さ、を痛感。…まぁ、つまりは、とても10曲になんて絞れないってこと(汗…)。 ということで、清志郎に関してはルールを変更(自分で作ったルールなんてものはいつだって簡単に変更可能なのだ)、清志郎のいろんな側面を「喜」「怒」「哀」「楽」にわけて、それぞれに大好きな10曲ずつを選んでみることにする。 その1は、“怒り”編。 1・自由 2・I Shall Be Released 3・シュー 4・やさしさ 5・偽善者 6・偉人のうた 7・善良な市民 8・SUMMERTIME BLUES 9・あきれて物も言えない 10・HUNGRY
清志郎の音楽の中で「怒り」はとても重要なファクターだ。
でも、清志郎はただやみくもに怒っているわけではなかった。
ひねたりすねたりしているように見えたときも、ただかっこつけているように見えたときも、社会問題を大きく取り上げているように見えたときも、清志郎が言いたかったのは「個人としての自由」を邪魔されたり邪険に扱われたりしたくない、ということだけだったのだと思う。
忌野清志郎の10曲 「怒」編1・ 自由 84年のアルバム「FEEL SO BAD」の一曲目。 ♪俺はつきあいにくいぜ 誰の言うことも聞かねぇ 口やかましく言われても 俺の態度を変えることはできねぇ だって俺は自由、自由、自由 短いこの人生で一番大事なもの それは俺の自由 17の冬にこの歌を聴いて鳥肌がたった。 誰かに何かを強制されたり強奪されたりしたくない。自分のやることは自分の責任で決める。それが自由の意味。 2・ I Shall Be Released 88年「コブラの悩み」より。ヘヴィなアレンジを施されたボブ・ディランの替え歌。 ♪アタマの悪い奴等が 圧力をかけてくる あきれてモノが言えねぇ またしてもモノが言えない 「想定」による警鐘は、なかったことにされてしまった。それは誰のためだったのか?この期に及んでまだ「免責事項」だってさ。あきれてモノが言えねぇ。 3・ シュー ♪烏合の衆 ・・・一人じゃ何にもできないくせに 一人じゃ何にも言えないくせに・・・ 1stアルバム「初期のRCサクセション」(72年)。 何か事件があるたびにわっと盛り上がっては、すぐに忘れてしまうこの国の人々への強烈な批判、或いは自虐。 このひねくれ方、性格の悪さこそが清志郎の真骨頂だと思う。 4・ やさしさ ♪誰も優しくなんかない 君と同じさ いやらしいのさ 「やさしさ」がもてはやされていたニューミュージックの時代に、この言葉。 やさしさ、って何だ? 例えば、ボランティアに行くことは「やさしさ」に満ちた素晴らしい行動だと思う。でも、勘違いしちゃいけない、それはやさしさなんかじゃない。 やさしさとは、自分の欲求にしたがってすることが相手にとってもそうしてもらいたいことだったときにだけ通用する不思議な符丁なのだと思っておいた方がいい。 76年「シングルマン」。5・ 偽善者 これは清志郎じゃなく、ゼリーさんのレコードだったっけ?88年の覆面ユニット「ザ・タイマーズ」。 これは衝撃だった。ギターひとつでここまでロックできるんだ、って目からウロコ。 最初に就職したパン屋で2tトラックを運転しながら♪2t車2t車、ぶっとばせハイウェイ~ってとこ歌うのが好きだった。そう、♪偽善者、俺のことさ~ 6・ 偉人のうた もういっちょ、タイマーズ。 ♪もしも僕が偉くなったなら 偉くない人の邪魔をしたりしないさ~ ちょっと自分で調べりゃわかることをすぐに部下に確認させ準備させる偉い人がたくさんいて、時々かなり仕事の邪魔だったりする。「事実を見ろ」なんて人に諭しておきながら自分じゃ事実を見ない。偉い人には困らされる。 7・ 善良な市民 ♪泥棒が憲法改正の議論をしてる コソ泥が選挙制度改革で揉めてる ・・・神様は一体何をしている?モノを売りさばいて金儲けをしている 今の首相の発言にココロが見えないのは確かだけど、それを「国民の声が聴こえなくなった」と辞任した前の首相に言われるようならおしまいだな。首相なんてどうせお飾りなんだとしたら、もっと元気が出る人にやってもらったほうがいい。アントニオさんとかAちゃんなんて最適なんじゃないか(苦笑)。 93年、忌野清志郎&2・3’Sの「Music from POWERHOUSE」より。8・ SUMMERTIME BLUES 多くの物議を醸した88年の「COVERS」。 このライヴ映像では、♪安全は守れない あいつらじゃ無理だろう 卑怯者には守れない 安全は守れない いくじなしじゃ守れない 誰も信用していない、って歌っている。 あの当時から、国や電気会社の体質が信用できないんだ、ということはバレていたっていうのにな。 9・ あきれて物も言えない ♪低脳な山師と信念を金で売っちまうお偉方が動かしてる世の中さ 良くなるわけがない あきれて物も言えな~い 80年、「PLEASE」。この曲のカッコよさは、中学生の時に初めて聴いたときにはよくわからなかったな。 10・ HUNGRY ♪育ちが良くても悪くても 問題なのはそれじゃねえ 今日がいい日か悪い日か 誰かが勝手に決めりゃいいさ 笑っているか泣かされているか それは心の持ち方次第 かまわないでくれ 腹がへってるんだ じらさないでくれ 腹がへってるんだ 食いたくないものばかり食わされる 90年「Baby A Go-Go」。 ボ・ディドリー流のぶりぶりしたリズムと重いチャボのギター、皮肉っぽい清志郎の歌い方、「COVERS」や「MARVY」で遠ざかっていたRCならではの黒っぽさがあって嬉しかった。
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LA MOSCAさんもこういうのやらずにおられないタチですもんね。40曲選んでもきっとボロボロこぼれそうだから。ぜひLA MOSCAさんもやってくださーい!
では、今から(その2)書きます。