“乾いた風が砂漠を吹きぬけ 生誕の輪の中に渦を巻いて吹き込んでいった 死の砂が子どもたちの上に降り注ぐ 母親たちや父親たちの上 そして自動化された地球の上に” (ポール・サイモン“The Boy In The Bubble”より) 曇り空の日曜日。 春だというのにどんよりして、どうも重く暗い想像ばかりしてしまっていけない。 ニュースばかり見ていると、暗くなってしまう。 被災地では今、精神的なケアが必要になっていると専門家が語っている。 きっとそうなんだろう。それは僕らも同じだ。 落ち込むところまで落ち込んだら、浮かび上がるためには明るく楽しく力強い音楽が必要だ。 シニカルに、ペシミスティックになったところで、状況は何も変わらない。 でも、何の根拠もなく愛だ希望だ勇気だ元気だと歌われてもなんだかかえってげんなりしてしまう。 今必要なのはむしろ、愛も希望も勇気も元気もなかったとしてもやっていくんだという決意みたいなもの。 冒頭にあげたポール・サイモンの“The Boy In The Bubble” 。 能天気なオルガンのイントロとは裏腹に、とてもシビアな状況を歌った歌。 悲惨で痛々しい光景を歌ったあと、この歌はこう続く。 “These are days of miracle and wonder, and don't cry ,baby don't cry” 不可思議で驚きに満ちた日々 だけど、泣くんじゃない。 Graceland / Paul Simon ポール・サイモンの1986年の作品。
グラミー賞を獲り、世界中で大ヒットしたアルバム。
南アフリカの音楽を搾取しているとずいぶん非難もされたけど、僕はこのアルバムが大好きだ。
青い空やぽっかりした白い雲が心に浮かんでくるようなおおらかなサウンド。
生命力がもりもりと湧いてくるようなリズム。
そして、底辺でずっと鳴っているのは、ポール・サイモンの意志の力。
そのリズムと意志のこもった声が、ペシミスティックなヴァースをポジティヴに響かせてくれる。
力強さを与えてくれる。
力強さといっても、筋肉隆々の力強さではない、悩んだり落ち込んだり諦めたり嘆いたりした果てに見つけた強い底力のような力強さ。
“POWER”ではなく“STRENGTH”。
目の前で起きていること、これから起きること。
目を背けずにしっかり見ておきたい。
うろたえずに、惑わされずに、怒鳴ったり嘆いたり大声を張り上げて不安をごまかしたりせずに。
強くありたい。
今、必要なのは、“POWER”ではなく“STRENGTH”。
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正直、放射能のことは、自分自身このことに限って言えばそんなに気にしてはいないのです。今から子ども作る予定はないし、そもそも発がん性のことはタバコやめてからでないと言えない(苦笑)。
困ってしまうことの第一は食料事情。また輸入が増える。大事な命綱を外国に握られる。
第二は電力供給。不謹慎な言い方になってしまったら申し訳ないですが、短期的な視点ではおそらく電力が停まることのほうが、放射能よりも健康に与える被害は大きい。消費をする気分にならないのは自粛ではなく、過度な贅沢にどっぷりつかった生活を見直さない限りは原発に電力を頼らざるを得ないのが嫌なのです。関西は2/3が福井の原発に電力源を頼っているそうですから、せめて古い炉を廃炉にしても大丈夫なくらいの電力でまかなえる暮らしにしたいのです。
(このようなことは、自分が原発のある町に暮らしていないからこそ言えることだ、との反省も付け加えておきます。)