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♪30年の成熟

月と専制君主(CD+DVD)
月と専制君主
/ 佐野元春

1. ジュジュ
2. 夏草の誘い
3. ヤングブラッズ
4. クエスチョンズ
5. 彼女が自由に踊るとき
6. 月と専制君主
7. C'mon
8. 日曜の朝の憂鬱
9. 君がいなければ
10. レインガール


みなさん、こんばんは。goldenblueです。
今日紹介するのは、佐野元春のデビュー30周年記念として録音されたセルフ・カバーの新作『月と専制君主』というアルバム。i-tunesでゲットして、朝からずっと聴いているんだ。とても素敵な作品に仕上がっていて、素直に感動した僕は、もう何度もずっとリピートしているっていうわけだ。とにかくゴキゲンなサウンドだ。

僕が佐野元春の音楽に初めて出会い夢中になったのは1982年、15才のときだったのだから、佐野元春音楽活動30年のうち28年を僕はリアルタイムで体験してきたことになる。
僕にとって佐野元春は、ロックンロールが単なるポップ・ミュージックとしてのみならず、もっと奥の深い表現ができるものであり、また、魂の在り方や人生へのアティテュードそのもののことであるということを教えてくれた兄貴みたいな人だ。そしてその作品や活動を通じて僕らに送り続けてくれたメッセージの数々はまさに「つまらない大人になりたくない!」のシャウトに共鳴した少年が「つまらなくない大人になる」にはどうしたらいいのかのテキストとして存在していたんだ。

セルフ・カバーって聞くとなんだか、売れなくなったアーティストに過去のヒット曲を歌わせて懐かしい青春時代を思い起こさせて財布のひもを緩めてもらおうという意図が臭ってきてしまう人がいるかもしれないけれど、このアルバムはそんな魂胆がミエミエのアルバムとはまるで違う。よくあるセルフ・カバーのように、懐かしさを呼び覚ますような要素はなにひとつない。
例えば、収録された10曲の中ではもっとも有名な曲であろう“ヤングブラッズ”は、コンガやボンゴのゆるいグルーヴが気持ちいいとてもリラックスしたサウンドでパッケージされて、後半延々と続くバンドのインプロビゼーションも大人の鑑賞に耐えられる良質で豊かなニュアンスを含んでいる。そして何より、歌から聴こえてくるメッセージにとても深みが増している、と僕は思ったんだ。若い頃の、少し苛立ち混じりの気負いも含んだいきり立った異議申し立てや決意表明ではなく、とても穏やかに静かに人生に於いてとても大切なことをゆるやかにさりげなく話すような語り口。その表情はとてもくつろいではいるけれど、ちゃんと前を向いた明るさに満ちている。
セルフ・カバー、リ・メイクというよりは、“リ・クリエイト”とでも呼んだほうがしっくりくる質の高い演奏。とても優雅でリラックスした心地よさ、ちょうどいい感じの力の抜け具合。
どの曲も、とても豊かで、優しく、荒々しさや乱暴さやかっこつけではない本当の力強さに満ちあふれていて、ココロは穏やかに、そして静かに元気が湧いてくる。
30年分の成熟。

佐野元春のような表現者が同じ時代に同じ言葉を話す国に出現したこと、そのクールで無邪気でインテリジェンスに満ちた表現をずっとリアルタイムで追いかけてこれたことに僕は感謝したい。
そして、もし君が、昔佐野元春の音楽を少しでも好きだったのなら、ぜひ一度この新作を聴いてみてほしい。こんなふうに優雅に穏やかにロックできるのなら、歳を重ねることはむしろとても素敵なことだ、と思うに違いないさ。
それじゃぁ今日はこのへんで。アイ・ワナ・ビー・ウィズ・ユゥ、トゥナイ!



      (佐野元春のDJの感じで書きました。ぜひ佐野元春の口調で読んでください(笑)。)




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コメント

[C355] Re:

非双子さん、こんばんは。
レーザーディスクですか・・・デジタル化への鬼っ子みたいな存在になってしまいましたね。永遠美しい映像が・・・ってな謳い文句だったはずなのに!騙したのね、うそつき!あたしの青春を返してよっ!・・・みたいな気持ちになってしまいますね(笑)。
ひょっとしてCDもそのうちそんな媒体になってしまうのでしょうか?やばいかもしれませんね。

[C354]

先月、高校の同窓会で
”翻訳調文語体でしゃべる独特のトーク””みたいな話し方する
英語の先生に久しぶりに会いましたよ(笑)

元春のレーザーディスク、数枚あるけど観れない!悲しい!
  • 2011-02-02 21:11
  • 非双子
  • URL
  • 編集

[C353] Re:

つき子さん、こんにちは。
聴かれましたか。そう、満ち足りた印象ですね。今までやってきたことへの肯定の上に今ありたい形が見えている、そんな感じがします。かっこいいというよりは、語弊があるかもしれないけれどとてもチャーミングな音楽だと思いました。
  • 2011-02-02 08:31
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C352] Re:

mono-monoさん、ミモザさん、お返事遅くなりました。
佐野さんの口調で読んでいただけてありがとうございます。翻訳調文語体でしゃべる独特のトーク、つい真似したくなります(笑)。
佐野元春のサウンドストリート、高校生の頃毎週聴いていました。他のラジオではかからないかっこいい曲をたくさん教えてもらったなぁ。佐野さんには深いところでかなり影響を受けているみたいです。意識したわけではないけれどハンドルネームのgoldenblueなんてのも佐野ボキャブラリーっぽい気がしてきました(笑)。
  • 2011-02-02 08:22
  • goldenblue
  • URL
  • 編集

[C351]

 この間、偶然車の中で聴いたのはこのアルバムだったような?満ち足りた印象を受けました。
  • 2011-02-01 23:08
  • つき子
  • URL
  • 編集

[C350]

そ、大丈夫です。
脳内SPでしっかりSO YOUNGを流しながら読みました^^
僕はカフェ・ボヘミアまでなら全部レコード持っていて、NO DAMAGEは現在でも、よく聴きます、定期的に。
元春レディオショーも、優雅で穏やかなプログラムでいい雰囲気なんですよね。
しっかりチェックしてます。

[C349]

大丈夫です。
ちゃんと彼の口調で読んでました(笑)
しかしいつも「元春レイディオショー」聞き逃しちゃってて、今週は聞きたいなあと決意を新たにしております。
私は彼の熱心なファンではありませんが(スイマセン)いつも気になる存在です。
NHKの「ソングライターズ」また新シリーズやらないかなあ。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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