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♪1992年7月 シカゴ

メンフィスからシカゴへ。
深夜に乗り込んだバスは、乗り合わせた乗客のほとんどがアフリカ系だった。
ブルースで歌われる世界をとても身近に感じた。
隣に座ったでっぷり太ったおばさんの横で小さくなりながら、バスはシカゴへ。
マディ・ウォーターズやハウリンウルフがしのぎを削ったブルースの都。シアーズタワーなど、超高層ビルが立ち並ぶ大都会。
ウィンディ・シティと言われるとおり、ミシガンを超えて街中を吹き抜ける風はとても強く冷たかった。6月の終わりでこんなに冷たいのなら、真冬は一体どんななんだろう。

さて、エディ・バークスというブルースマンはご存知だろうか?
おそらく知っている方はほとんどおられないと思う。僕も当然知らなかった。
ガイドブックでいくつかのブルースクラブに目星をつけて、あてずっぽうで飛び込んだその中の一軒のブルースクラブで演奏していたのが彼とそのバンド、エディ・バークス&シカゴ・ブルースだったのだ。

Eddie Burks
This Old Road / Eddie Burks

広めの喫茶店くらいのこじんまりしたクラブのステージの真ん中で、でっぷり太った恰幅のいいおっさんが、しわがれた声でうなる。マディとウルフの中間のような、正統派の渋い声。そしてハープ。サックスも交えた6人編成のバンドはファンキーでブルージィ。
いやぁ、かっこいい。めちゃくちゃかっこいい!
一気に引き込まれ、アルコールもよく回ってすっかりいい気分。

第一部が終わったあと、トイレでたまたまベースのお兄さんとかちあったので、声を掛けてみた。

“Hi!Your band is great,wonderful,I'm so exited!”
“Oh,Thank you,very much.”
“I came from Japan to see Blues band.”
“Yeah,really?That's fine!”

そんな感じの会話があって、始まった第二部をステージまん前のテーブルでかぶりついて見ていたら、3曲終わったあたりくらいでベースマンがMCで「今日は、遠く日本からシカゴのブルースを見に来てくれた友人がいるので紹介しよう!」みたいなことを言って僕の方を指差すではないか。フロアにいた他のお客(ほとんどは少し年配の白人夫婦だったけれど)もワオーッって感じで盛り上がって、その後、たくさんの人から「日本のどこから来た?KYOTO?TOKYOじゃなくてKYOTO?」とか、「ブルースは好きか?」「ほかにアメリカのどこへ行ってきた?」なんて声を掛けられることになってしまった。
さらにベースマンは「何か楽器が弾けるのなら演らないか?」とまで言い出して、これは丁重にお断りしたのですが(ちょっとだけコードが押さえられる程度でとてもじゃないが本場のブルースマンとなんて滅相もない)、とにかく楽しいステージだった。
演奏した曲目は、“I'm a King Bee”“Hoochie Koochie Man”から“I've got my Mojo Walkin'”“Littele red Rooster”“Stop Breakin' Down”、そして“Sweet Home Chcago”などなど、まさにシカゴ・ブルースの名曲オンパレード。 すっかり本場のシカゴ・ブルースを堪能しました。

さらに彼らは、ステージが跳ねた後、バーに出てきて、僕をテーブルに呼んでくれ、お酒をおごってくれた。そうして、ゴキゲンなシカゴの夜は更けていったのだった。
ちなみに、そのとき彼らが自主販売していたCDにサインしてもらったのがこれ。

CDEB

僕の大切な宝物です。




追記:さっきウィキペディアを叩いてみたら、米国版にエディ・バークス氏の記事が。
http://en.wikipedia.org/wiki/Eddie_Burks_(blues_musician)

ミシシッピ州グリーンウッドの生まれで、1931年生まれだからあの当時は60過ぎだったのだな。
チャック・ベリーやボ・ディドリーの少し下、ジュニア・ウェルズやバディ・ガイの少し上で、ボビー・ブランドやオーティス・スパン、ヒューバート・サムリンあたりが同世代。ひょっとしてエディ氏は彼らとも共演したことがあったのだろうか。
そして残念なことに、エディ氏は2005年に自動車事故で亡くなっている。
亡くなるまでずっとシカゴのクラブでステージに立ち続けたのだそうだ。
R.I.P、Mr.バークス。




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コメント

[C524]

ぼくさん、こんばんは。
そう、誰にもあるような、とても個人的なありふれたたわいもない体験です。そして、とても個人的だからこそ、とても大切なのかもしれませんね。
  • 2011-06-21 21:06
  • goldenblue
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  • 編集

[C523]

こんばんは。いいお話ですね。ぼくにも似たような経験があるのですが、それを思い出しました。そして「似たような経験がある」という人は、このブログの読者には多いのではないかと思いました。
  • 2011-06-21 20:22
  • ぼく
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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