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♪Living Without You

どんよりした曇り空の休日。冬型の気圧配置が続く。
まだそんなに寒くはないけれど、なんだかいつまでも布団の中でごそごそしていたいような気分。
先週はとてもハードでとても疲れたから、今日はだらだらしていよう。

ニルソンの「ランディ・ニューマンを歌う」は、今日みたいなどんよりした休日によく似合う。
1970年録音。ハリー・ニルソンが、ランディ・ニューマンの曲ばかりを歌ったアルバム。
たった30分ほどで終わってしまう小さな呟きのような作品群は、どこかこの世のものとは思えないようなドリーミーでポエティックな美しさを湛えている。そして同時に、とてもヘヴィでダークな部分やクレイジーな部分を懐に忍ばせている。
キラキラ光る水面を持つとても美しい湖が、その底に暗く深い暗黒を抱えているように。

Nilsson Sings Newman
Nilsson Sings Newman / Nilsson


ハリー・ニルソン。ランディ・ニューマン。
二人とも“孤高の人”のイメージが強い。或いは、一筋縄ではいかないひねくれた偏屈者。
傲慢で、素直じゃなくて、無愛想で気が短くて、皮肉屋で屁理屈ばっかりこねて、些細なことでケチばっかりつけて文句ばっかり言っていそうな。
きっと実際お付き合いをしたら、とても嫌な奴なんじゃないか、と(笑)。
でも、そういう人のほうが本当は信用できる。
少なくとも、いつも笑顔や愛想を振りまいている人よりは。
ああいう人たちは、確かに自分自身をしっかり律していつも世間に対して装うことを忘れないからすごいと思う。ただ、時には相手にもその笑顔や愛想を強要したりして自分の正義を振りかざしたりするから厄介。そして陰ではいろんな人の至らないところばっかりを並べ立てていたりする。
傲慢で、素直じゃなくて、無愛想で気が短くて、皮肉屋で屁理屈ばっかりこねて、些細なことでケチばっかりつけて文句ばっかり言っていそうな人は、きっと世界に対して無防備すぎるのだ。
彼らは、根本的には世界を愛している、或いは愛したいと願っている。だからこそ、思うようにはならない世界との距離を上手に保つことがヘタクソなのだ。
そして、そのギャップが、時にとても美しい音楽になったりする。


大好きな“Living Without You”
ランディ・ニューマン自身が弾くピアノは、淡々として静謐だが何か密かな思いを秘めている感じがする。そしてニルソンのヴォーカルもまた同じく。

 陽が昇ると牛乳屋さん
 そして新聞がドアにつっこまれる
 地下鉄がゴトゴト走り出し
 そして僕はあなたを想う
 灰色の夜明け
 また次の淋しい一日が始まる 

 あなたがいない暮らしは
 なんだかなぁ

 みんな何かを持っていて
 で、もっともっと欲しがろうとするんだ
 その何かのために毎朝起きるんだろ
 でも、僕はどうでもいい
 何も起こらない
 何も変わらない

 あなたがいない暮らしは
 なんだかなぁ 


とてもせつなく淋しい歌のようにも聴こえる。
しかし、その響きはとても美しい。
あなたがいない暮らしがとても辛いからこそ、あなたといるときはとても幸せなんだとでもいうようなニュアンスすら感じるのだ。
どんよりと曇った分厚い雲の上には、すっきりと透明な空があるんだよ、とでもいうような。
静かにこんな音楽を聴きながら、次の晴れた日を待つのも悪くはない、そんな気分にさせられる。







 
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[C225] Re:

kingさん、こんばんは。
確かに、It's so hardを3回も重ねて歌ってますから、かなり辛い状況なのかもしれませんね。最初「とても辛い」と訳したのですが、辛い時に「辛い」って言うかな、と思って、深いため息がわりに「なんだかなぁ」としてみました。
ランディ・ニューマンのヴァージョンはもっと酔っぱらってますが、このニルソンの歌はどこか温かさを感じるのです。

[C224] living without you

この曲はニッティ・グリッティ・ダート・バンドがやってたのを聞いて大好きになったんですが、ニルソンやランディのヴァージョンはもっと孤独な感じが出ていて、歌詞のイメージと繋がります。

でもこの訳は面白いです。僕の解釈だと「It's So Hard」の部分はフラれてすごく辛い様子で、
まるで絶望しているような感じと受け取っているのですが、そこを「なんだかなぁ」とすると温かみがでていいですね。
でもあのランディ・ニューマンのことだから、何か裏があるんじゃないかとも思ってしまうのですが(笑)

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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