高校生の頃、受験勉強そっちのけでノートになにやらいろんなことを書いていた時期があった。 いろんなことが思うようにいかなくて悶々とした毎日の思いを吐き出す場所が日常生活のどこにもなくて、僕はそんないろんな思いをノートに書き綴ることでなんとか持ちこたえていたのだ。カッコよく言えばね。 でも、そのノートは今はもうない。ある季節が過ぎたあとに読み返せばそれはあまりにも気恥ずかしいものでしかなくて、ある日全部処分してしまった。 そのときの思いは今はもう思い出せない。もし思い出せたとしても、その頃の思いを言葉にすることはもはや不可能なのだ。 40歳を目前にした39歳の秋。 自分の中で何かが変わっていこうとしているのかもしれない、という気がしていた。 その変化は、悪い種類のものではない。ただし、その変化によって自分自身のある時期が失われてしまうのかもしれないという予感があって、それは少し寂しい気もしていた。誰からも蔑まされるような着古したボロ着にも、着ている本人だからこその愛着ってものがある。 何か自分自身のために書いておくべきではないのか。 高校生の頃の気持ちを思い出すことが出来ないように、今の思いもきっとそのうちに忘れてしまう。後になって同じようなことをなぞって書こうとしてもそれはずいぶん変質してしまったものに違いないのだ。 忘れてしまわないうちに書いておかなくてはいけないのではないか。 ブログを書こうと思ったのは、そんな感じだったのだなぁということが今振り返ってみるとよくわかる。 そして最初に書き始めたのが"音楽と人生に関する一考察 "というタイトルのブログ。 第一番目の記事は佐野元春の『SOMEDAY』、日付は2006年11月2日。 だから、なんだかんだとブログのある生活がもう5年目に突入していることになってしまった。 そんなに長く書くつもりはなかったのだ。 実は「今自分の手元にあるものを片っ端から書いて、書ききったらさっさとやめよう」と最初から考えていた。だから、まるで自分の中身を次々ひっくりかえしてはとりあえず床に散らばらせて、ひとつひとつ棚に直していくような感じで床の上から拾っては書いた。 果たして計画通りに、2008年の3月で一旦終了した後、4月から今のブログで再スタートしたのは、当初はまるで想像もつかなかった、ブログを通じて広がる世界のおもしろさを知ってしまったからだと思う。 一番最初にコメントを下さった方とはいつの間にかすっかり疎遠になってしまったけれど、普通に暮らしていては知り合うことすらないであろうたくさんの「仲間」と呼んでいい方々との出会いや交流は、いまやとても大切なものになりました。 Snap / The Jamザ・ジャム。当時19歳だったポール・ウェラーが中心になって結成。パンク・ムーヴメントの影響を受け、1977年にデビュー。
シャープでキレのよい演奏と若い世代の性急なメッセージを携えて一躍世界を席巻するが、1982年に6枚目のアルバムを出した後、人気絶頂の中で電撃的に解散。
そしてポール・ウェラーは、すぐさま翌1983年に新しいユニット"スタイル・カウンシル"を始動させる。
硬派なイメージだったジャム時代とうって変わって、スタイル・カウンシルはソウルやR&Bの影響が濃いブラック・コンテンポラリー的なサウンドへシフトしよりポップで洒落たイメージで人気を博したがその後低迷。1989年にはレコード会社から契約を拒否される形で自然消滅してしまう。
Singular Adventures / Style Councilこのブログを始める時、「今度はスタイル・カウンシルみたいにしよう」と漠然と思っていた。
新しい形式、今までとは違うやり方、今までの器ではうまくはまらなくなってしまった自分の気持を盛るための新しい器。これからの自分を上手に盛り付けるための器。平たく言えば、まぁちょっと気どって書いてみよう、と(笑)。
そう考えれば、最初のブログはジャムだったってことになる。とりあえず勢いで突っ走った、という意味ではそうかもしれない(苦笑)。
Modern Classics / Paul Weller スタイル・カウンシル消滅後、ソロになったポール・ウェラーは、奇をてらわずに、自らのルーツであるR&Bに根ざした芯が太くてどっしりしたサウンドで、その後もマイ・ペースで素晴らしい作品を作り続けている。
このベスト盤は90年代のソロ初期の4枚からのセレクトだけど、どの曲にも迷いがない。ジャムのシャープさやソリッドさもスタイル・カウンシルのスマートさもないけれど、だからといって枯れてもいないしかつての自分の縮小再生産を粛々と演っているふうでもない。どこから見渡してもポール・ウェラーにしか出せない独特の色気が漂っている。
もはや揺らぐことなどない、ちゃらちゃらとスタイルを変える必要もない、自分自身の音楽を誰のためでもない自分自身のためにこれからも演奏していくのだ、というような一本筋の通った潔さが感じられる音楽なのだ。
おぉ、そうだ。この先はこんな感じで行こう!
なんて…また単純にすっかり影響受けている僕なのであります。
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自分の楽しみで書いているのに、こうやってたくさんの方からコメントをいただける、というのはブログの醍醐味ですねぇ。嬉しい限りです。
「言葉の力」、読んでいる方以上に、書いている本人に一番効いているような気もします。もわっとした手探りのものが、書くことで何かひとつの光になってりするようなことがごく稀にですがあります。そういう時、なんとも言えない良い気分になったりするのです(笑)。