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♪南の国の暮らし方 / ジミー・クリフを聴きながら

Give Thanx
Give Thanx/Jimmy Cliff

毎日が今年の最高気温を更新する暑さ。天気予報は36℃。たまたま世界の天気予報見てたら、ニューヨークは31℃、ロンドンは21℃、ジャカルタやバンコクですら33℃なのだから、いかに大阪・京都が暑いかよくわかる。さすがにサウジアラビアのリャドは45℃なんて出てましたが。
しかし、不思議なことに人間には環境に順応する能力があって、いきなり暑さモードがアップした先週あたりに比べれば、体はずいぶん暑さに馴染んできた感じがする。

そもそも暑いのは決して嫌いではない。できれば年中Tシャツ一枚で過ごしたいくらいだ。
暑さは人を開放的にする。寒いのは縮こまってしまって陰気になってしまう。気が滅入ると人生は辛い。
だから、南の国の暮らしに憧れる。
貧しくても何もなくても、笑顔だけはあるような南の国の暮らし方。
それは、一言で言えば、手に入るものだけで暮らしていく暮らし方だ。
南北格差なんていわれるように、世界中で最も貧しいと言われる国の多くは南北回帰線の間に位置している。テレビや新聞や雑誌で、僕らはそんな貧しい国の現状をまるで神が貧しい民を憐れむかのような目線で見聞きし、たまに気まぐれで寄付したりなんかするけれど(その行為そのものを決して否定するわけではありませんが)、そこでふと思うのだ。本当に彼らは貧しいのだろうか?ここで問われている貧しい・豊かは、あくまでも僕たちいわゆる“先進国”の尺度での豊かさであって、人生の価値とは別物なんじゃないのか?と。
古来、南の国は豊かだった。
手に入るものだけでまかなえる数の人間が手に入るものだけで暮らしていた。
北側の人間は、農業を発明し、交易を発明し、本来自分の身の回りでは手に入らないはずのものを前提とした豊かさの上に繁栄を築き上げてしまった。結果、自転車操業で回転する暮らしの中で、いつの間にか、豊かさを得るために非人間的な暮らしを強いられるようなおかしな人生を多くの人がそれを疑問にすら思わずに歩むような社会ができあがってしまった。その挙句にうつ病や自殺や無差別殺人みたいに弱い人たちが堪えきれずに暴発し、その上地球環境まで悲鳴をあげだしているわけで。そんなことを考えると、そもそもこの豊かさは、手に入れてはいけなかった豊かさなんじゃないかと思うのだ。

できることなら南の国でぶらぶらしながらノーテンキにいいかげんに暮らしたい、と思う。
毎日ぶらぶらごろごろして、お金が無くなったら、ツアーでやってきた無知でお金持ちの観光客に適当なものを適当な値段をふっかけたり、適当な観光案内なんかしてふんだくってやるのだ…!
…なんて、そんなことを考えてしまうのは、きっと逃避なんだとは思う。
しんどい現実からの逃避。でも、そんなことは承知の上で、いざとなったらそんな人生を選ぶことだってできる、というくらいの気概は持っておきたい。今の豊かさにしがみついてはいけないのだ、という覚悟が、本当にいざという時には救いになるような気がするからだ。

さて、“今日のおんがく”はジミー・クリフ。
浜辺に横たわるジミーさんのアップ、その向こう側の美しい海、そんな夏によく似合うジャケットの1978年の“Give Thanx”。ジミー・クリフのレコードの中でもこのアルバムと、75年の“Follow My Mind”は、レゲエに留まらないソウル・R&Bっぽい洗練された音やアフリカ的なポリリズムを取り入れた音の広がり、=即ち、世界の広がり、があって大好きだ。
しなやかなレゲエの裏打ちのリズム、そこに乗るジミーさんの声は、どこかすっとぼけて飄々としているけれど、同時にその内にある強い意志、見せかけやハッタリではない強い意志が感じられる。声高に誰かを非難したり、何かを煽動したりするわけではないけれど、ジミーさんの願う理想の世界がぽっこりと、あぜ道に咲く花のように浮かび上がってくるのだ。
ロックの持つ、貪欲で性急でオールorナッシング的な欲望の追求が、どこか北側の過剰な欲望を反映した音楽だとすれば、ジミーさんのレゲエこそは、ノーテンキでいいかげんで、しなやかでしたたかな、まさに南の国的な音楽だと思う。



 

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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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