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◇Dreams to Remember~清志郎が教えてくれたこと

Dreams to Remember~清志郎が教えてくれたこと
Dreams to Remember~清志郎が教えてくれたこと / 今井 智子 おおくぼ ひさこ(写真)


気温が急に下がって、すっかり秋めいた休日。
空はすっきりと晴れて海辺の町のような気持ちのいい風が吹いていた。
まったくこないだまでの猛暑は一体なんだったんだ、なんて思いつつも過ごしやすいのは大歓迎だ。
のんびりしよう、と風に吹かれて寝転がりながら、本を読んでいた。
図書館でたまたま見つけた、今井智子さんの「Dreams to Remember~清志郎が教えてくれたこと」。
今井さんがまだ駆け出しのライターだった頃からのかれこれ30年分の、RCサクセション/忌野清志郎に関するインタビューや雑誌記事を元に構成した本。ちょうど一年ほど前に出たものだ。
出版当時に本屋さんで見かけた記憶はあるのだけれど、あの時は玉石混淆の山ほどの清志郎追悼本が出ていてなんだか食傷気味だったから、とても買ってまで読もうという気にはならなかったのだ。片っ端から出版される清志郎本をいちいち読むことは、なんだか自分自身が清志郎が死んだことをコレクションしているみたいでちょっと違和感を感じたし、いちいち本なんて読まなくても清志郎は清志郎が遺した音楽の中に生きているじゃないか、なんて思いもあった。お涙頂戴のセンチな物語にされてしまうことなんて、清志郎が一番嫌がったことなんじゃなかったか?、と。

そんな風に少し懐疑的な思いを持ったまま読んだ。
でも、読み始めたら止まらなかった。
本の中から清志郎の声が聴こえてくるんだもの。
とても活き活きと、いつも変わらないちょっとシャイで飄々としたあの口調で、ふざけたり、悪態ついたり、照れたり、得意になったりしている清志郎の声が。

お涙頂戴の物語じゃない、ただの感傷的な思い出話や、判った風な評論じゃない、清志郎の生の声を残しておきたい、伝えたい、そのときどきの時代の空気とともに、そのときどきのリアルな感情の手触りを伴って…そんな思いが行間から伝わってくる。そして、今井さんをはじめとするこの本を作ったスタッフたちの、清志郎への敬意と愛。そんなものをたくさん感じて、読み終えて、なんとなく胸が一杯になった。


ところで、清志郎が教えてくれたことって何だろう。
本のサブタイトルにしていながら、今井さんは、清志郎が教えてくれたことを明記していない。それは多分人それぞれにあって、そのことをそれぞれが思い出してみてほしい、というメッセージなのだろうか。
僕は、そうだな…自分自身の気持ちに忠実であること、自分の気持ちをねじまげないこと、媚びないこと、でも深刻になりすぎないこと、笑っちゃうこと、自分自身が楽しいと思えることを楽しむこと…
あ、それからなんといってもコレだ!


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コメント

[C156] Re:

リュウさん、こんばんは。
“形にならないものほど、尊い”、まったくそうですよね。音、歌、詞、そして発言や態度で、清志郎が教えてくれたのは、人生への接し方、アティテュードみたいなものだったと思います。
もっとも清志郎が生きていたら「俺はデタラメだらけだからな。参考にするんじゃないぜ。」とか言ってはぐらかされそうですが。

[C155]

Sweet Soul Music♪

それが一番教わったことです。
当時、そんな言葉も知らない自分に
言葉と音のプレゼントを貰いました♪

そしてRockにRock'n Rollも。

形にならないものほど、尊いが持論です・・・。

[C154] Re:

LA MOSCAさん、こんばんは。
そうですね、この本はとてもよかったです。その頃はなんとなく手を伸ばしてみる気になれなくて。今なら素直に読めました。

そうそう、清志郎本といえば、人のブログから勝手に記事をパクってきて編集している悪名高き「第三書館」という会社の“忌”というシリーズの第三弾が出版されていて・・・その本に僕が書いた「サラリーマン」の記事が載っていました、、、波野井先生の記事もありました。無論、無断掲載です。著作権的にどーゆーことになってるのか、いっぺん世間に出た文章にこだわるつもりはないけど、納得いかないモノがありますね(苦笑)。
昔勝手に編集されたEPLP2が出たときに清志郎は「買うな!」って怒ってたから、僕も「この本は立読みで済ましましょう!!」と呼びかけておきます。

[C153]

俺もこの本は読みました、購入して。
goldenblueさんの言うことも判るんだけど
今井さんも、きっとホントに好きで清志郎をずっと追いかけてきた人。
コレはチョイスしてもいいかな?と思って。
一般論じゃなく今井さんの思いで綴られた記事にグッときました。

清志郎が教えてくれたことか・・・。
難しいですね、言葉にするのは。
あまりにも沢山ありますからね。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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